【関係法令】健康の保持増進のための措置
作業環境測定
作業環境測定の出題では、①測定項目、②測定頻度の2つに分かれます。
以前は、作業環境測定が必要かどうかの設問もありましたが、近年は見かけなくなり、長らく測定頻度の出題が続いていたところ、令和7年前期に測定項目が出題されました。
つまり、測定項目と測定頻度を作業場と結びつけて覚える必要があります。
ところが、作業場の分類で出題される場合と、作業内容で出題される場合があるため、どの作業内容がどの作業場に分類されるかまで覚えないと対策できない難易度です。
過去に出題されたことのある作業分類・作業内容と、測定項目・測定頻度をまとめましたので、頑張って覚えましょう。
特定粉じん作業を常時行う屋内作業場
測定頻度:6か月以内ごとに1回
- セメントを袋詰めする作業
- 型ばらし装置を用いて砂型をこわす作業
暑熱、寒冷又は多湿の屋内作業場
測定頻度:半月以内ごとに1回
ふく射熱の測定は、一部の暑熱環境でしか行われないことに注意してください。
- 溶融金属の運搬又は鋳込みの業務(気温、湿度及びふく射熱)
- 溶融ガラスからガラス製品を成型する業務(気温、湿度及びふく射熱)
- 加硫がまによりゴムを加硫する業務(気温、湿度)
- 多量のドライアイスを取り扱う業務(気温、湿度)
著しい騒音を発する屋内作業場
測定頻度:6か月以内ごとに1回
- 鋲打ち機、はつり機等圧縮空気により駆動される機械又は器具を取り扱う業務
- チッパーによりチップする業務
- ドラムバーカーにより、木材を削皮する業務
- ロール機による金属の圧延の業務
- 動力により駆動されるハンマーを用いる金属の成型の業務
坑内の作業場
測定頻度(作業場で異なる):1か月以内ごとに1回(炭酸ガス濃度)、半月以内ごとに1回(気温、通気量)
- 通気設備が設けられている坑内の作業場(通気量)
放射線業務を行う作業場
測定頻度:1か月以内ごとに1回
- 放射線業務を行う作業場のうち管理区域に該当する部分(線量当量率又は線量当量)
- エックス線装置を使用する業務を行う作業場のうち管理区域に該当する部分(線量当量率又は線量当量)
- エックス線装置を用いて透過写真撮影の業務を行う作業場の管理区域(線量当量率又は線量当量)
- 非密封の放射性物質を取り扱う作業室(空気中の放射性物質の濃度)
- 放射性物質取扱作業室(空気中の放射性物質の濃度)
特定化学物質を製造し又は取り扱う屋内作業場
測定頻度:6か月以内ごとに1回
対象は第1類物質と第2類物質であることに注意。幸いにも、固有の物質名では出題されていません。
- 特定化学物質のうち第一類物質を取り扱う屋内作業場
一定の鉛業務を行う屋内作業場
測定頻度:1年以内ごとに1回
- 鉛の製錬工程において鉛等を取り扱う業務
- 鉛蓄電池を製造する工程において鉛等を加工する業務
- 鉛蓄電池の解体工程において鉛等を切断する業務
- 鉛合金を製造する工程における鉛合金の溶融、鋳造の業務
- 鉛ライニングの業務
酸素欠乏危険場所において作業を行う場合の当該作業場
測定頻度:作業開始前等ごと
酸素欠乏危険場所は酸素の濃度、酸素欠乏・硫化水素危険場所は酸素及び硫化水素の濃度であることに注意してください。ただし、酸素欠乏危険場所は、毎回特化した出題があるためか、総合問題ではほとんど出題されていません。
- 第二種酸素欠乏危険作業を行う作業場(酸素及び硫化水素の濃度)
有機溶剤を製造し又は取り扱う業務を行う屋内作業場
測定頻度:6か月以内ごとに1回
- トルエンを取り扱う屋内作業場
- トルエンを用いて有機溶剤業務を行う屋内作業場
- 第一種有機溶剤等又は第二種有機溶剤等を用いて有機溶剤業務を行う屋内作業場
- 第二種有機溶剤等を用いて印刷の業務を行う屋内作業場
廃棄物の焼却施設に係る作業
測定頻度:6か月以内ごとに1回
令和7年前期に初出題されました。今後の出題には要注意です。
- 廃棄物の焼却施設において焼却灰を取り扱う業務(設備の解体等に伴うものを除く。)
該当法令:労働安全衛生法第65条、労働安全衛生法施行令第21条、労働安全衛生規則第587条など
一般健康診断
長らく出題率100%でしたが、令和6年度の公表問題では出ませんでした。しかし、平成29年後期には2問出題されるほどの重要分野です。出題内容は、①定期健康診断で省略できる項目、②健康診断の法令全般のどちらかです。
- ①定期健康診断で省略できる項目
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出題されたらラッキー問題。11ある検査項目のうち、医師が必要でないと認めるときは、省略することができる項目に該当しないもの(要するに省略できない項目)が問われます。
省略できない4項目:既往歴及び業務歴の調査、自覚症状及び他覚症状の有無の検査、血圧の測定、尿検査
4つ覚えるだけOK。誤りパターンを気にする必要はありません。参考までに、心電図検査、肝機能検査、血中脂質検査が誤りとして出やすいです。
- ②健康診断の法令全般
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全体的には雇入時の健康診断に関する出題が多いですが、定期健康診断もかなり混じっています。年々選択肢の文言が変わっていますので、よく出る出題内容別に覚えておきたいポイントをまとめます。
◎=よく出る、〇=出やすい、△=たまに出る
雇入時 ◎ 医師による健康診断を受けた後3か月(誤:6か月)を経過しない者が、その健康診断結果を証明する書面を提出したときは、その健康診断の項目に相当する項目を省略できる ◎ 事業規模にかかわらず、健康診断の結果を所轄労働基準監督署長に報告する必要はない
※雇入時は常時50人以上でも報告の必要がありません◎ 検査項目は省略できない
※定期健康診断では省略できる検査項目が、雇入時は引っかけで出題されるので注意〇 健康診断個人票を作成して5年間保存しなければならない 〇 異常の所見があると診断された労働者については、その結果に基づき、健康を保持するために必要な措置について、健康診断が行われた日から3か月以内に、医師の意見を聴かなければならない △ 聴力の検査は、1,000Hz及び4,000Hz(誤:3,000Hz)の音について行わなければならない △ 血糖検査は含まれているが、血液中の尿酸濃度の検査は含まれない 定期健康診断 ◎ 異常の所見があると診断された労働者については、その結果に基づき、健康を保持するために必要な措置について、健康診断が行われた日から3か月以内に、医師の意見を聴かなければならない 〇 常時50人以上の労働者を使用する事業場は、遅滞なく、定期健康診断結果報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない
※常時50人未満は報告の必要がありません〇 健康診断個人票を作成して5年間保存しなければならない 〇 定期健康診断を受けた労働者全員(誤:再検査を必要とする者及び異常の所見があると診断された者)に、遅滞なく(誤:3か月以内に)、健康診断の結果を通知しなければならない 特定業務 ◎ 深夜業を含む業務に常時従事する労働者に対し、6か月以内ごとに1回、定期に、健康診断を行わなければならないが、胸部エックス線検査については、1年以内ごとに1回、定期に、行うことができる
※深夜業しか出題されていませんが特定業務は同様です海外派遣 〇 海外に6か月以上派遣して帰国した労働者について、国内の業務に就かせるとき、一時的な就業の場合を除いて、海外派遣労働者健康診断を行わなければならない
該当法令:労働安全衛生法第66条、第66条の4、労働安全衛生法施行規則第43条、第44条、第45条、第45条の2、第51条、第51条の2、第51条の4、第52条
ストレスチェックの実施者
ストレスチェックは、医師、保健師の他、法定研修を修了していること(一部例外あり)を条件に、歯科医師、看護師、精神保健福祉士、公認心理師でも行うことができます。
出題は、医師、保健師以外に実施できる4資格(法定研修修了者)を、4択から2つ答える形式です。第一種衛生管理者試験としては異例の易しさなので、確実に取れるようにしておきましょう。
過去には、衛生管理者、産業カウンセラー、労働衛生コンサルタントが誤りとして出題されています。
該当法令:労働安全衛生法施行規則第52条の10第1項
ストレスチェックの実施
過去問で出題された選択肢と誤りパターンを紹介しておきます。
- 常時50人以上の労働者を使用する事業者(誤:すべての事業者)、1年以内ごと(誤:6か月ごと)に1回、ストレスチェックを行わなければならない
※常時50人未満の事業所では、当分の間ストレスチェックの実施が努力義務とされています。注意
労働安全衛生法附則第4条により、ストレスチェックが努力義務とされている常時50人未満の事業者においても、いずれ義務化されることが決まっています。
- 事業者は、ストレスチェックの結果が、ストレスチェックを受けた労働者(誤:衛生管理者及びストレスチェックを受けた労働者)に通知されるようにしなければならない(よく出る)
- 労働者に対して行うストレスチェックの事項は、「職場における当該労働者の心理的な負担の原因」、「当該労働者の心理的な負担による心身の自覚症状」及び「職場における他の労働者による当該労働者への支援」に関する項目である(よく出る)
- 常時50人以上の労働者を使用する事業者は、1年以内ごとに1回、定期に、心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない
- ストレスチェックを受ける労働者について解雇、昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者は、ストレスチェックの実施の事務に従事してはならない
該当法令:労働安全衛生法第66条の10、労働安全衛生法施行規則第52条の9、第52条の10第2項、第52条の21
ストレスチェック結果に基づく面接指導
ストレスチェック結果に基づく面接指導の選択肢は、そのほとんどが誤りとなっており、正しかったのは全ての選択肢が面接指導関係だったケースしかありません(令和5年後期まで)。
「正しい」を選択させる出題形式なので、誤りが多くなるのは当然ですが、高ストレス労働者を対象とするデリケートな制度に対して、簡単には正しい選択肢を用意しない出題側の意図を感じさせます。
以下、過去問で出題された誤り選択肢の解説です。
- 面接指導の対象(出やすい)
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事業者は、ストレスチェックの結果、心理的な負担の程度が高い労働者全員に対し、医師による面接指導を行わなければならない
- 面接指導の実施対象は、心理的な負担の程度が高く面接指導を受ける必要があるとストレスチェックの実施者(医師等)が認め、なおかつ労働者から面接指導の申出があった場合
- 面接指導の時期(出やすい)
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事業者は、面接指導の対象となる労働者の要件に該当する労働者から申出があったときは、申出の日から3か月以内に、面接指導を行わなければならない
- 面接指導の申出に対しては、遅滞なく、面接指導を行わなければならない
- 医師の指名(出やすい)
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- 面接指導を行う医師として事業者が指名できる医師は、法定の研修を修了した医師に限られる
- 面接指導を行う医師として事業者が指名できる医師は、当該事業場の産業医に限られる
- 面接指導を行う医師として、当該事業場の産業医を指名しなければならない
- 面接指導を行う医師は産業医に限られておらず、法定研修の要件もない
- 面接指導結果の集計・分析
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事業者は、面接指導を行った場合は、当該面接指導の結果を当該事業場の当該部署に所属する労働者の集団その他の一定規模の集団ごとに集計し、その結果について分析しなければならない
- ストレスチェックに基づく面接指導の結果を集計・分析する(させる)規定はない
令和5年後期に初出題されました。以降は頻出している選択肢ですが、不正確な情報がインターネット上に散見され、迷う受験者が多いと思われますので、きちんと覚えたい人向けに詳しく解説しておきます。
この選択肢に類似した文言は、安衛則第52条の14第1項にあります。
労働安全衛生法施行規則第52条の14第1項
事業者は、検査を行った場合は、当該検査を行った医師等に、当該検査の結果を当該事業場の当該部署に所属する労働者の集団その他の一定規模の集団ごとに集計させ、その結果について分析させるよう努めなければならない。この規定における「検査」とは、面接指導ではなくストレスチェックですから、選択肢は面接指導としている時点で誤りなのですが、もし「検査」を面接指導だと勘違いしても、結果的に誤りが導かれるよう配慮されています。
その配慮とは、①検査の集計・分析は事業者ではなく実施者(医師等)が行うこと、②検査の集計・分析は努力義務であることの2点に反する文言の変更です。
選択肢は、①に反して事業者が行う趣旨へと変更され、②に反して義務である趣旨へと変更されており、
- 面接指導結果の集計・分析は医師が行うので誤り
- 面接指導結果の集計・分析は努力義務なので誤り
これらの解説を見かけたら、法解釈の致命的な誤認があるので注意してください。出題側の配慮に救われて、たまたま正誤が合っているだけです。
- 面接指導結果の記録(出やすい)
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面接指導の結果は、健康診断個人票に記載しなければならない
- 面接指導の結果の記録を健康診断個人票に記載する規定はない
なお、事業者は、面接指導の結果の記録を5年間保存しなければならず、記載事項に規定はありますが、様式の指定はありません。
- 労働基準監督署長への報告
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ストレスチェックと面接指導の実施状況について、面接指導を受けた労働者数が50人以上の場合に限り、労働基準監督署長へ報告しなければならない
- 労働基準監督署長への報告義務は、面接指導を受けた労働者数ではなく、常時50人以上の労働者を使用していること(ストレスチェックの実施義務があること)が要件
該当法令:労働安全衛生法第66条の10第3項、第4項、労働安全衛生法施行規則第52条の16第2項、第52条の18、第52条の21