【労働生理】臓器・血液循環・尿
心臓と血液循環
出題頻度が高いわりには、選択肢の種類や言い回しに大きな変化が見られず、過去問の周回で確実に取れる設問。
また、この設問はほとんど「誤り」を問われますが、誤りパターンが数種類に固定化されています。学習の時間が取れない場合は、よく出る誤りパターンだけでも覚えましょう。
よく出る誤りパターン
- 心臓は、自律神経の中枢(正:洞結節・洞房結節)で発生した刺激が刺激伝導系を介して心筋に伝わることにより、規則正しく収縮と拡張を繰り返す
- 肺循環は、右心室から肺静脈(正:肺動脈)を経て肺の毛細血管に入り、肺動脈(正:肺静脈)を通って左心房に戻る血液の循環である
- 大動脈及び肺動脈(正:肺静脈)を流れる血液は、酸素に富む動脈血である
- 心筋は、意志と無関係に動く不随意筋であるが、平滑筋(正:横紋筋)に分類される
以下、その他の選択肢を含めた出題傾向です。
◎=よく出る、〇=出やすい、△=たまに出る
心臓の動き | ◎ | 心臓の中にある洞結節(洞房結節)(誤:自律神経の中枢)で発生した刺激が、刺激伝導系を介して心筋に伝わることにより、心臓は規則正しく収縮と拡張を繰り返す |
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体循環 | ◎ | 体循環では、血液は左心室から大動脈に入り、静脈血となって右心房に戻ってくる |
◎ | 肺を除く各組織の毛細血管を通過する血液の流れは、体循環の一部である | |
肺循環 | ◎ | 肺循環は、右心室から肺動脈(誤:肺静脈)を経て肺の毛細血管に入り、肺静脈(誤:肺動脈)を通って左心房に戻る血液の循環である |
〇 | 肺循環により左心房に戻ってきた血液は、左心室を経て大動脈に入る | |
動脈と静脈 | ◎ | 大動脈及び肺静脈(誤:肺動脈)を流れる血液は、酸素に富む動脈血である |
〇 | 大動脈を流れる血液は動脈血であるが、肺動脈を流れる血液は静脈血である | |
△ | 左心室を流れる血液は動脈血であり、右心室を流れる血液は静脈血である | |
心筋 | ◎ | 心筋は不随意筋であるが、骨格筋と同様に横紋筋(誤:平滑筋)に分類される |
心臓の拍動 | 〇 | 心臓の拍動による動脈圧の変動を末梢の動脈で触知したものを脈拍といい、一般に、手首の橈骨動脈で触知する |
〇 | 心臓の拍動は、自律神経の支配を受けている | |
動脈硬化 | △ | 動脈硬化とは、コレステロールの蓄積などにより、動脈壁が肥厚・硬化して弾力性を失った状態であり、進行すると血管の狭窄や閉塞を招き、臓器への酸素や栄養分の供給が妨げられる |
その他 | 〇 | 心臓自体は、大動脈の起始部から出る冠動脈によって酸素や栄養分の供給を受けている |
〇 | 心臓の血液拍出量は、普通1回60~80ミリリットル程度である(以前出ていた) |
尿・腎臓・泌尿器系
内容としては難しい部類ですが、平成23年前期~令和4年前期までに全く同じ問題が7回も出ており、難易度の高さは考慮されているようです。
【頻出問題】
- 誤:血中の老廃物は、尿細管からボウマン嚢に濾し出される。
- 誤:血中の蛋白質は、糸球体からボウマン嚢に濾し出される。
- 正:血中のグルコースは、糸球体からボウマン嚢に濾し出される。
- 誤:原尿中に濾し出された電解質の多くは、ボウマン嚢から血中に再吸収される。
- 誤:原尿中に濾し出された水分の大部分は、そのまま尿として排出される。
他の問題は、分野別にまとめています。
- 腎小体と原尿の生成
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- 糸球体から血液中の血球及び蛋白質以外の成分がボウマン嚢に濾し出され、原尿が生成される
⇒「糖以外の成分」とする誤りがよく出る(※糖はボウマン嚢に濾し出される) - ネフロン(腎単位)は、尿を生成する単位構造で、1個の腎小体とそれに続く1本の尿細管から成り、1個の腎臓中に約100万個ある
- 糸球体から血液中の血球及び蛋白質以外の成分がボウマン嚢に濾し出され、原尿が生成される
- 原尿の再吸収
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- 原尿に含まれる大部分の水分及び身体に必要な成分が血液中に再吸収され、残りが尿として生成される
- 尿の性状
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- 尿は淡黄色の液体で、固有の臭気を有し、通常、弱酸性である
⇒「アルカリ性」とする誤りがよく出る - 尿の比重は、水分摂取量が多いと小さくなる
- 尿は淡黄色の液体で、固有の臭気を有し、通常、弱酸性である
- 尿酸
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- 尿酸は、体内のプリン体と呼ばれる物質の代謝物で、健康診断において血液中の尿酸の量の検査が広く行われている
⇒尿中の尿酸の量とする誤りが令和5年後期に初出題
- 尿酸は、体内のプリン体と呼ばれる物質の代謝物で、健康診断において血液中の尿酸の量の検査が広く行われている
- 尿と健康状態
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- 尿の生成・排出により、体内の水分の量やナトリウムなどの電解質の濃度を調節するとともに、生命活動によって生じた不要な物質を排出する
- 尿の約95%は水分で、約5%が固形物であるが、その成分は全身の健康状態をよく反映するので、尿検査は健康診断などで広く行われている
⇒「尿素窒素の検査」とする誤りパターンあり - 血糖値が正常であっても、体質的に腎臓から糖が尿中に排泄されて、尿糖が陽性となる場合を腎性糖尿という
- 尿蛋白が陽性の場合は、腎臓、膀胱、尿道の病気などが疑われる
- 慢性腎炎やネフローゼでは、その病態が重いほど尿中蛋白量が増加する
- 血液中の尿素窒素
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- 尿素窒素(BUN)は、腎臓から排泄される老廃物の一種で、腎臓の働きが低下すると尿中に排泄されず、血液中の値が高くなる
⇒「尿素窒素(BUN)の値が低い=腎臓の機能の低下」とする誤りがよく出る
- 尿素窒素(BUN)は、腎臓から排泄される老廃物の一種で、腎臓の働きが低下すると尿中に排泄されず、血液中の値が高くなる