【労働衛生】健康保持と増進対策

特殊健康診断

特殊健康診断については、範囲があまりにも広く過去問を周回する以外によい方法が見当たりません。

一応の対策として、押さえておきたいポイントはありますので紹介しておきます。

  • 配置替えの際に行う特殊健康診断の目的
    ⇒ 業務適性の判断と、その後の業務による影響を調べるための基礎資料を得る
  • 適切な(実施・健診デザインを行うため)には
    ⇒ 作業内容と有害要因へのばく露状況を把握する必要がある
  • 有害物質による健康障害は自覚症状が先に出現するため問診の重要性が高い
    ⇒ 誤り。諸検査の結果により早期に発見されることが多い
  • 生物学的モニタリングによる検査
    ⇒ 有害物の体内摂取量や有害物による健康影響の程度を把握するため
  • 対象とする特定の健康障害と類似の他の疾患との判別
    ⇒ 一般健康診断よりも一層強く求められる
  • 有機溶剤は生物学的半減期が短い
    ⇒ 採尿の時刻は、厳重に管理する必要がある
  • 鉛は生物学的半減期が短い
    ⇒ 誤り。鉛は生物学的半減期が長いため、採尿は作業に従事している任意の時期でよい
  • 振動工具取扱い作業者に対する特殊健康診断
    ⇒ 冬季に行うとよい
  • 情報機器作業(VDT)に係る健康診断
    ⇒ 眼科学的検査などとともに、上肢(誤:上肢及び下肢)の運動機能の検査を行う
  • 業務歴と既往歴の調査
    ⇒ 生活条件の変化についての調査も必要

特別規則の細かい診断項目が出題されたら

特殊健康診断の趣旨や概要、または特定業務における特殊健康診断の運用を問うのではなく、各特別規則に規定された細かい診断項目の正誤が問われるレアケースがあります。

例えば、特定化学物質である「マンガン」を取り扱う業務の特殊健康診断項目は、特定化学物質障害予防規則別表第3に規定されています。

しかし、そのような規定の全てを覚えなければ、衛生管理者試験を合格させられない意図の出題だとしたら、とてつもない難易度の試験になってしまいますよね。

ですから、過去問にないパターンは、まず他の選択肢で解答できないか正誤を判断するほうが先決でしょう。重箱の隅をつつくような選択肢は、正しい可能性が高いと当サイトは考えます(分析に基づくものではありませんが)。

健康測定の運動機能検査項目

過去問は「柔軟性」に誤りが偏っていますが、簡単なので全項目正解できるようにしておきましょう。

検査項目 検査内容 誤りパターン
筋力 握力
筋持久力 上体起こし
柔軟性 座位体前屈 上体起こし
平衡性 閉眼(又は開眼)片足立ち
敏しょう性 全身反応時間 踏み台昇降
全身持久性 最大酸素摂取量

THP指針

厚生労働省の「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」(THP指針)からの出題。

令和になって何度も改正されており、過去問は改正前の指針から出題されていること、出題傾向がつかみにくいこと、出題率がそれほど高くないことを踏まえると、優先して覚えるかどうかは判断が分かれる設問です。

もし、押さえておくとしたら……という視点で、ポイントを解説します。

  • 事業者は、健康保持増進措置が継続的かつ計画的に行われるようにするため、健康保持増進計画を策定する
  • 健康測定は、疾病の早期発見を目的としたものではない(健康診断ではない)
  • 問診、診察及び医学的検査の一部については、健康診断をもって代替することも可能
  • 健康測定の結果に基づき、運動指導メンタルヘルスケア栄養指導保健指導が行われる
    健康指導の種類 実施スタッフ 指導内容
    運動指導 運動指導担当者(運動プログラムの作成)
    運動実践担当者(運動実践の指導援助)
    個々の労働者に合った適切な運動
    メンタルヘルスケア 心理相談担当者 ストレスに対する気付きへの援助、リラクセーション(リラクゼーション)の指導等
    ※必要と判断された場合又は労働者自身が希望する場合
    栄養指導 産業栄養指導担当者 栄養の摂取量、食習慣や食行動の評価と改善
    保健指導 産業保健指導担当者 睡眠、喫煙、飲酒、口腔保健等の指導及び教育
  • 産業医は、健康測定の実施結果を評価し、健康指導を行うための指導票を作成するとともに、健康保持増進措置を実施する他のスタッフに対して指導を行う
  • 健康保持増進措置の実施スタッフ確保が困難な場合は、外部の労働者健康保持増進サービス機関などに委託して実施する