【労働生理】呼吸・体温調節

呼吸の知識

ほぼ出題される重要問題です。選択肢の文言は少しずつ変わっていますが、問われる内容は変わっていません。

◎=よく出る、〇=出やすい、△=たまに出る

呼吸のしくみ

胸郭内容積が増す ⇒ 内圧が低くなる ⇒ 肺が広がる=空気を吸う
胸郭内容積が減る ⇒ 内圧が高くなる ⇒ 肺が縮まる=空気を吐く

呼吸運動 肋間筋と横隔膜の協調運動(誤:胸膜が運動、気管と胸膜の協調運動)によって胸郭内容積を周期的に増減し、それに伴って肺を伸縮させる(誤:肺自体が能動的に収縮、弛緩をくり返す
胸郭内容積が減ると(誤:胸郭内容積が増すと)、その内圧が高くなるため、肺はその弾性により収縮する
吸気とは 胸郭内容積が増し、その内圧が低くなるにつれ、鼻腔、気管などの気道を経て肺内へ流れ込む空気
呼吸の種類と異常状態

外呼吸と内呼吸が反対の誤りがよく出ます。チェーンストークス呼吸に注意。

外呼吸 肺胞内の空気と肺胞を取り巻く毛細血管中の血液との間で行われる酸素と二酸化炭素のガス交換
内呼吸 全身の毛細血管中の血液が各組織細胞に酸素を渡して二酸化炭素を受け取るガス交換
チェーンストークス呼吸 無呼吸から徐々に深い呼吸へと進み、その後は呼吸が浅くなって無呼吸に戻る周期的な呼吸リズムの異常状態)(誤:肺機能の低下により呼吸数が増加した状態
令和4年前期から出題、以降よく出ています
呼吸と空気成分
呼気成分 酸素が約16%、二酸化炭素が約4%含まれる
酸素と血液 血液中に取り込まれた酸素は、赤血球中のヘモグロビンと結合して(誤:血漿中に溶解して)全身の組織に運ばれる
呼吸中枢と運動

呼吸中枢は延髄、呼吸は血液中の二酸化炭素濃度と密接に関係。

呼吸中枢の場所 延髄誤:間脳の視床下部、小脳)にあり、呼吸に関与する筋肉は支配されている
身体活動時 血液中の二酸化炭素分圧(誤:窒素分圧)の上昇などにより呼吸中枢が刺激され、1回換気量及び呼吸数が増加する(呼吸が速く深くなる、肺でのガス交換の量が多くなる)
興奮性の維持 興奮性を維持するためには、常に一定量以上の二酸化炭素(誤:一酸化炭素、窒素)が血液中に含まれていることが必要
平常時 成人の呼吸数は、通常、1分間に16~20回であるが、食事、入浴、発熱などによって増加する(誤:減少する

体温調節の知識

出題内容も選択肢もパターン化していて正解しやすい設問。ただし、正誤のどちらが問われているのか要注意。

◎=よく出る、〇=出やすい

体温調節中枢 体温調節中枢は、間脳の視床下部(誤:脳幹の延髄、小脳)にあり、産熱と放熱とのバランスを維持し、体温を一定に保つよう機能している
恒常性 体温調節にみられるように、外部環境などが変化しても身体内部の状態を一定に保とうとする性質を恒常性(ホメオスタシス)(誤:同調性)という
寒冷な環境 寒冷な環境においては、皮膚の血管が収縮して血流量が減って、熱の放散が減少する(誤:皮膚の血管が拡張して血流量を増し、皮膚温を上昇させる
暑熱(高温)な環境 暑熱な環境においては、内臓の血流量が増加し体内の代謝活動が抑制される(誤:亢進する)ことにより、人体からの熱の放散が促進される
不感蒸泄
  • 発汗のほかに、皮膚及び呼気から水分を蒸発させている現象(誤:水分が発汗により失われること)を不感蒸泄という
  • 発汗のない状態でも皮膚及び呼吸器から1日約850gの水の蒸発があり、これを不感蒸泄という
  • 不感蒸泄に伴う放熱は全放熱量の10%以上(誤:10%以下)である
熱の放散 熱の放散は、ふく射(放射)、伝導、蒸発などの物理的な過程で行われ、蒸発には、発汗と不感蒸泄によるものがある
発汗
  • 発汗には、体熱を放散する役割を果たす温熱性発汗と精神的緊張や感動による精神性発汗とがあり、労働時には一般にこの両方が現れる
  • 精神性発汗は、足の裏や手のひらなどで多くみられる(誤:温熱性発汗は、全身でみられるが、特に足の裏で多い)
  • 発汗量が著しく多いときは、水分のみの補給では血液中の塩分濃度が低下して痙攣を起こすことがある(誤:体内の水分が減少し血液中の塩分濃度が増加するため、痙攣を起こすことがあるので、十分な水分補給が必要である
体温低下 計算上、100g(誤:10g)の水分が体重70kgの人の体表面から蒸発すると、気化熱が奪われ、体温が約1℃下がる