【保安】蒸発器・除霜等
直近10年の出題傾向
| 分類・特徴 | 冷凍能力 | 乾式 | 満液式 | 除霜・凍結 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 令和6年度 | 〇 | ◎ | 〇 | ||
| 令和5年度 | ◎ | 〇 | 〇 | ||
| 令和4年度 | ◎ | ◎ | |||
| 令和3年度 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 令和2年度 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 令和元年度 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
| 平成30年度 | ③ | 〇 | |||
| 平成29年度 | ◎ | 〇 | 〇 | ||
| 平成28年度 | ◎ | 〇 | 〇 | ||
| 平成27年度 | 〇 | 〇 | ◎ |
※「◎」は同年度に2つ出題、「③」は同年度に3つ出題
ここ10年は除霜・凍結に関する出題が毎年ありますが、出ない年があったり、除霜・凍結だけの設問があったりと一定ではないです。基本的に出るものだと考えておきましょう。
また、乾式・満液式については、バランスよく出ているとは言い難く、読みづらい傾向になっています。
注意
蒸発器の問題では、あまり用語が統一されていません。
蒸発器 ⇒ 冷却器(空気冷却の場合だけ?)
冷却管 ⇒ 伝熱管
冷媒液強制循環式 ⇒ 液ポンプ方式
除霜 ⇒ デフロスト
など、その年によって異なりますので、混乱しないように気を付けてください。
分類・特徴
蒸発器の分類について、古い過去問では「乾式、満液式および冷媒液強制循環式など」となっており、令和6年度に「乾式、満液式など」へ変更されました。冷媒液強制循環式は満液式の一部として扱われています。
したがって、大きくは乾式と満液式の2つに分類され、次のように細分されます。
乾式蒸発器
| 冷媒の蒸発 | 用途 | 種類 |
|---|---|---|
| 冷却管内 | 空調 | 空調用フィンコイル |
| 冷凍・冷蔵 | 冷凍・冷蔵用フィンコイル | |
| 急速冷凍 | 管棚形(出題未確認) | |
| 液体冷却 | シェルアンドチューブ | |
| ブレージングプレート |
満液式蒸発器
| 冷媒の蒸発 | 用途 | 冷媒循環 | 種類 |
|---|---|---|---|
| 冷却管外 | 液体冷却 | シェルアンドチューブ | |
| 冷却管内 | 液体冷却 冷凍・冷蔵 |
自然循環 | フィンコイル |
| 強制循環 | フィンコイル | ||
| ヘリングボーン(出題未確認) |
特徴については、それぞれの蒸発器で説明しています。
プレート?フィン?チューブ?コイル?
受験者であれば説明不要かと思いますが初学者向けに。
前記の分類表では「フィンコイル」と表記しているところ、乾式の空気冷却用蒸発器では「プレートフィン」「プレートフィンチューブ」「プレートフィンコイル」と出題されています。
フィンは必ずしも板状とは限りませんが、出題は板状のフィンであるプレートフィンが前提のようです。
「チューブ」と「コイル」については、チューブ(冷却管)を折り返して配列し、組み立てたものを一般的にコイルと呼びますので、
- フィン:伝熱面積を増やすための突起状の構造
- フィンチューブ:フィンが付いた冷却管
- フィンコイル:フィンチューブをコイル状に組み立てたユニットの総称
- プレートフィン:フィンの形状が板状のもの
- プレートフィンチューブ:板状のフィンが付いた冷却管
- プレートフィンコイル:プレートフィンチューブをコイル状に組み立てたユニット
と整理できます。
なお、プレートフィンは一定間隔(ピッチ)で取り付けられますので、プレートフィンチューブをユニット化したプレートフィンコイルは、フィンが整列して一体化したように見えます。
冷凍能力
出題頻度は多くないのですが、実は、同じ出題しかされていません。丸暗記を推奨です。
出題例(正)
蒸発器における冷凍能力は、冷却される空気や水などと冷媒との間の平均温度差、熱通過率および伝熱面積に比例する。
※「蒸発器における」⇒「蒸発器の」、「比例」⇒「正比例」になることがある
\(Φ_o=KAΔt_m\)
\(Φ_o\):冷凍能力(kW)
\(K\):熱通過率 [kW/(m2・K)]
\(A\):伝熱面積(m2)
\(Δt_m\):冷却される空気や水などと冷媒の平均温度差(K)
計算式が乗算なので比例だとわかります。
出題間隔的にそろそろ出そうな気はしますが、求めるのが冷凍能力から変わる、比例が反比例に変わるなど、内容を変えてくる可能性には注意。
乾式蒸発器
基本中の基本として、乾式蒸発器で冷媒が流れるのは冷却管内です。
したがって、「乾式蒸発器」と「冷却管内を水・ブライン」の組み合わせは誤りだと判断できます。サービス問題に近いので、しっかりチェックしましょう。
誤りパターンの例
シェル側に冷媒を供給し、冷却管内にブラインを流して冷却するシェルアンドチューブ蒸発器は乾式である。
⇒乾式蒸発器では冷却管内に冷媒を流すので誤り
また、乾式蒸発器では、膨張弁を出た気液混相冷媒が蒸発器出口では乾き飽和蒸気となる(さらに若干の過熱がある)設計です。乾式=冷媒液が蒸発で無くなる=乾くとイメージ!
- 満液式と比べて冷媒量は少ない、平均熱通過率は小さい
- 大きな容量の乾式蒸発器では、多数の冷却管に冷媒を均等に分配するためディストリビュータ(分配器)を取り付ける
- ディストリビュータを取り付けると、圧力降下の分だけ膨張弁の容量は小さくなる
- フルオロカーボン冷媒では冷凍機油が冷媒蒸気と一緒に圧縮機へ吸い込まれ、アンモニア冷媒では油抜きが必要
乾式蒸発器では、冷却管内を冷媒が流れるため、冷媒の圧力降下が生じます。圧力降下が大きいと、蒸発器出入口間での冷媒の蒸発温度差が大きくなり冷却能力が低下します。
令和5年度に誤りが出題されたので覚えておきましょう。
空気冷却用蒸発器
- 空調用
-
要求される冷却温度がそれほど低くないので、伝熱面積を最大化するためフィンは密に設けられます。
- 冷却管の外径は5~7mm、フィンの厚みは0.1mm程度、フィンピッチは1.5mm前後
- 空気と冷媒の平均温度差は15~20K
- 冷凍・冷蔵用
-
ファンなどの他機器を組み込んだ「ユニットクーラ」が用いられやすい。冷却温度が低く、着霜リスクを考慮して、空調用よりフィンピッチが広めに取られます。
- 冷却管の外径は9.5~19.1mm、フィンの厚みは0.2mm程度、フィンピッチは6~12mm
- 空気と冷媒の平均温度差は5~10K
空気(庫内温度)と冷媒(蒸発温度)の平均温度差を大きくすると、庫内温度を一定に保つためには、冷媒の蒸発温度を下げなくてはなりません。蒸発温度が下がると、冷凍装置の成績係数は低下します。
平均温度差が大きい ⇒ 蒸発温度が下がる ⇒ 成績係数が下がる
この点は時々出題されているので要注意です。
出題例(誤)
空気と冷媒の平均温度差が大き過ぎると、蒸発温度を高く(正:低く)する必要があり、装置の成績係数が低下する
空気と冷媒の平均温度差を大きくすると、装置の成績係数は向上(正:低下)する。
- 管棚形
-
出題が確認できないので概要だけ。
管棚形では、冷却管(フィンを付けない裸管)を棚状に配置し、その上に冷却したい品物をのせて、送風しながら冷却します。名称から想像できるように「冷却管でできた金棚」だと思えばだいたい合っています。
液体冷却用蒸発器
- シェルアンドチューブ(乾式)
-
- 冷却管外(シェル側)に水・ブラインが流れ、冷媒は冷却管内を流れる
- 冷却管はインナフィンチューブなどの伝熱促進管が使用されやすい
- 水・ブライン側の熱伝達率を上げるためバッフルプレートが用いられる
冷媒側にインナフィンチューブ(冷却管内側にフィン)を用いるのは、水・ブライン側の熱伝達率より、冷媒側の熱伝達率が小さいためです。冷却管外側にフィンがある空気冷却用とは逆になります。
バッフルプレートは、水・ブラインの流れを変えるために設置します。流れを変えることで、流路の延長かつ乱流化し、さらに冷却管を均等に利用することができて伝熱性能が高まります。
- ブレージングプレート
-
出題が確認できないので概要だけ。
ブレージングプレート蒸発器は、ステンレス製の薄板を多数重ね、ろう付け(ブレージング)したものです。水・ブラインと冷媒は、それぞれ薄板の隙間を交互に流れます。薄板にパターン加工を施すことで、乱流を発生させて伝熱性能を高めています。
冷却管と異なり、薄板に挟まれた部分を流れますから、伝熱に使われる面積が大きく小形高性能ですが、ろう付けで密閉されているため分解洗浄ができず、スケール等の汚れや目詰まりに対しては交換が前提です。
満液式蒸発器
満液式蒸発器には、冷媒の蒸発が、冷却管外で行われるか冷却管内で行われるかの分類があります。冷媒液は、そのすべてが蒸発するのではなく、冷媒液は蒸発器内を循環または滞留します。
- 乾式と比べて冷媒量は多い、平均熱通過率は大きい
- 冷却管内蒸発器と冷却管外蒸発器がある
- フロート弁などの液面制御する機構が必要
- 圧縮機への冷凍機油の戻りが悪いので油戻し装置等が必要
冷却管外蒸発器
出題されるのはシェルアンドチューブですが、出題頻度はそれほど高くありません。
- シェルアンドチューブ(満液式)
-
シェル側を冷媒液、水・ブラインが冷却管内を流れます。乾式のシェルアンドチューブとは逆になる点に注意してください。
- シェル内で気液分離され、上部の飽和蒸気は圧縮機へ、冷媒液は冷却管を浸す
- 過熱に必要な管部がないので、伝熱面の平均熱通過率は乾式より大きい
- フルオロカーボン冷媒での油戻しは、液面近くの冷凍機油と混合した冷媒を抜いて加熱し、分離した冷凍機油を圧縮機に戻す
冷却管内蒸発器
冷媒の循環方式の違いで、強制循環式と自然循環式がありますが、自然循環式の出題は確認できません。
- 強制循環式(液ポンプ方式)
-
まず、強制循環式は「液ポンプ方式」として出題されるケースがあることに注意!
仕組みがわかってしまえば難しい出題はないので、冷媒液の流れをしっかり覚えましょう。
- 蒸発液量の3~5倍程度の冷媒液を強制循環(冷媒充填量が多くなる)
- 冷媒液は低圧受液器から液ポンプで蒸発器に送られ低圧受液器へ戻る
- 強制的に冷媒液を循環させるので冷凍機油は蒸発器内に滞留しない(冷媒液で流されてしまう)
- 設備が複雑になるため大きな冷凍装置向け
- 液ポンプは低圧受液器の液面よりも低い位置(約2m下)に置いて、低圧受液器から液ポンプまでに気化するのを防ぐ
低圧受液器には、蒸発器を出て気液混相状態となった冷媒が戻ってきます。低圧受液器で気液分離を行い、蒸気は圧縮機へ、液は低圧受液器へ溜まり、再び液ポンプを経由して蒸発器へ送られます。
このような構造上、冷凍機油も低圧受液器に溜まります。
アンモニア冷媒の場合、冷凍機油(鉱油)は冷媒にほとんど溶解せず、冷媒よりも重いので、低圧受液器の底部に溜まった冷凍機油を油抜き弁から抜きます。
フルオロカーボン冷媒の場合、冷凍機油は冷媒液に溶解しますが、冷媒より軽いため、低圧受液器の液面近くから冷凍機油と混合した冷媒を抜いて加熱分離します(シェルアンドチューブと同様)。
- 自然循環式
-
出題が確認できないので概要だけ。
強制循環式と異なり、冷媒の循環に密度差を使用します。つまり、冷媒液の一部が蒸発して、気液混相に変わると密度が下がって(軽くなって)上昇する自然対流を利用した循環です。
冷媒液は液集中器に溜まり、液集中器で気液分離されて、冷媒液だけが再び蒸発器へと送られます。
密度差を利用する原理上、冷媒の循環には高低差が必要です。
除霜・凍結防止
フィン表面に霜がつくと、抵抗になって風量が減り、伝熱は妨げられ、蒸発圧力・蒸発温度は低下します。装置の成績係数が低下するので、除霜(デフロスト)する方法が主に問われます。
- 散水方式
-
名称のとおり、水を蒸発器(冷却器として出題歴あり)にかけて霜を融解します。散布した水と霜が融けてできた水は、下部のドレンパンで受け、排水管を通って外部へ排出されます。
- 散水する水の温度は10~15℃
- 冷媒を回収、送風を停止してから行う
- 排水管にトラップを付けて外気の侵入を防ぐ
- 蒸発器内の水切りをしてから運転を再開する
当たり前ですが、冷水では霜が融けにくく、温水では再び冷えたとき霜になりやすいので、散水温度には適温があります。
ポイントは送風(「送風を止めず」「送風機を運転しながら」は誤り)。
- ホットガス方式
-
ホットガスデフロストでも出題歴あり。霜の融解に圧縮機から吐き出される高温の冷媒ガスを使用します。
- 高温冷媒ガスの顕熱と凝縮潜熱で霜を融かす
- 霜が厚いと融けにくいので霜が厚くなる前に行う
- 氷がたい積しないようにドレンパンおよび排水管をヒータなどで加熱
ポイントは顕熱+凝縮潜熱(「顕熱だけ」は誤り)と、霜の厚さ(「厚い霜に適している」は誤り)。
なお、ホットガス方式には、凝縮熱量の一部を蓄熱槽に蓄え、除霜で液化した冷媒液を蒸発させて熱源とする「蓄熱槽式ホットガス方式」もありますが、出題は確認できていません(令和6年度まで)。
- その他
-
平成25年にオフサイクルデフロスト方式の出題がありました。庫内温度が5℃程度の冷蔵庫(ユニットクーラ)で、蒸発器への冷媒の送り込みを止め、庫内の空気の送風によって霜を融かす方式です。
他には、不凍液を散布する方法、電気ヒータで加熱する方法などあります。
水・ブラインの凍結防止
出題は少ないですが油断禁物。
水は、凍結すると体積が約9%膨張します。体積の膨張は、容器や管を破損させるおそれがあるため、次のような対策をします。
- サーモスタットを用いて冷凍装置の運転を停止する
- 蒸発圧力調整弁を用いて蒸発圧力が下がりすぎないようにする
また、ブラインの凍結点は一般に0℃より低いとはいえ、水が主成分(水溶液)ですから、温度が下がりすぎると水と同様のリスクが生じますので、ブラインでも凍結防止対策は必要です。