【法令】保安検査・定期自主検査

第一種製造者の保安検査・定期自主検査は、それぞれ例年1問の出題です。範囲が広いわけではないので、比較的正解しやすい設問といえます。

保安検査が原則第三者の関与で行われ、製造者は検査される側なのに対し、定期自主検査は製造者が自ら行います。定期自主検査は、保安検査までの期間を埋める(補完する)関係というべきでしょうか。

したがって、両検査には類似点があり、保安検査と定期自主検査を混同させる問題が出やすいのも特徴です。きちんと区別して覚えないと、簡単に引っかかってしまうので注意してください。

保安検査(法第35条)

法第35条のほかに、冷凍則第40条からの出題もあります。

  • 保安検査の受検等(法第35条第1項)
  • 保安検査の対象施設(冷凍則第40条第1項)
  • 保安検査の周期(冷凍則第40条第2項)
  • 保安検査の内容(法第35条第2項)
  • 冷凍保安責任者の関与

直近10年の出題傾向

受検等 対象施設 周期 内容 保安責任者
令和5年度
令和4年度
令和3年度
令和2年度
令和元年度
平成30年度
平成29年度
平成28年度
平成27年度
平成26年度

保安検査のポイント

自ら保安検査ができる「認定保安検査実施者」は、設問上で除外されています。

保安検査の受検等

保安検査を行うのは都道府県知事ですが、高圧ガス保安協会または指定保安検査機関による保安検査も認められています。重複して受検する必要はありません。

出題例(正)
特定施設について、高圧ガス保安協会が行う保安検査を受け、その旨を都道府県知事等に届け出た場合は、都道府県知事等が行う保安検査を受けなくてよい。

ただし、高圧ガス保安協会または指定保安検査機関による保安検査を受けた場合は、都道府県知事に受検した旨を届け出なければなりません。平成元年度に出題されたので要注意です。

保安検査の対象施設

保安検査の対象外となる製造施設が、冷凍則第40条に規定されています。この規定から、保安検査を受けなくてよい製造施設について出題されます。

  • ヘリウムフルオロカーボン21又はフルオロカーボン114を冷媒ガスとする製造施設
  • 製造施設のうち認定指定設備の部分

このうち、ヘリウム、フルオロカーボン114、認定指定設備が過去問で出ています。フルオロカーボン134aは誤りです。

保安検査の周期

保安検査の周期問題では、3年に1回(3年以内に少なくとも1回以上)の正しい出題しかありません(令和5年度まで)。「災害その他やむを得ない事由」の場合は「経済産業大臣が定める期間に1回」であることも覚えておきましょう。

保安検査の内容

保安検査は、特定施設(保安検査が必要な施設)の位置、構造及び設備が、技術上の基準に適合しているかどうかについて行われます。「製造の方法」は誤りです。「特定施設の位置、構造及び設備並びに高圧ガスの製造の方法」のように、正しい内容に紛れて出されることがあるので注意しないと引っかかります。

冷凍保安責任者の関与

出題パターンとして、「冷凍保安責任者に行わせなければならない」「冷凍保安責任者にその実施について監督を行わせなければならない」「実施することは冷凍保安責任者の職務」などありますが、冷凍保安責任者の時点で全て誤りです。

冒頭で触れたように、保安検査は原則第三者の関与で行われるものですから、内部の冷凍保安責任者が実施・監督するのはおかしいと気付きます。もし出たらラッキーなくらいです。

定期自主検査(法第35条の2)

主に冷凍則第44条からの出題となりますが、パターン化されている問題が多く対策しやすいです。

  • 認定指定設備の検査
  • 定期自主検査の内容(冷凍則第44条第3項)
  • 定期自主検査の周期(冷凍則第44条第3項)
  • 定期自主検査の監督(冷凍則第44条第4項)
  • 定期自主検査の記録(法第35条の2、冷凍則第44条第5項)
  • 冷媒ガスの種類

直近10年の出題傾向

指定設備 内容 周期 監督 記録 冷媒ガス
令和5年度
令和4年度
令和3年度
令和2年度
令和元年度
平成30年度
平成29年度
平成28年度
平成27年度
平成26年度

※「◎」は同年度に2つ出題

定期自主検査のポイント

設問上、第一種製造者に限定されているので、第二種製造者と扱いが異なる規定を覚える必要はありません。

認定指定設備の検査

定期自主検査は、認定指定設備に係る部分についても実施しなければなりません。問われるのは実施の有無だけですが、保安検査では対象外なので間違えやすいです。

定期自主検査の内容

製造施設の位置、構造及び設備が、技術上の基準に適合しているかどうかについて行われますが、定期自主検査では耐圧試験に係るものは除かれています。保安検査と同じく「製造の方法」は誤りです。

定期自主検査の周期

定期自主検査は、1年に1回以上行わなくてはなりません。保安検査の3年に1回と間違えやすいです。「災害その他やむを得ない事由」の場合に「経済産業大臣が定める期間に1回」であるのは保安検査と同じです。

平成元年度に、冷媒ガスの種類で3年に1回または1年に1回とする出題がありました。第一種製造者の定期自主検査に冷媒ガスの種類は関係ありません。

定期自主検査の監督

定期自主検査では、冷凍保安責任者が実施を監督します。保安検査と明確に異なります

平成25年度に、冷凍保安責任者・代理者以外で製造保安責任者免状の交付を受けている者が、定期自主検査の実施の監督ができるか出題されました。もちろん監督できません。

定期自主検査の記録

製造者が自ら行う定期自主検査では、届出の必要はありませんが、検査記録を作成し保存しなければなりません「都道府県知事等に届け出なければならない」「冷凍保安責任者にその実施の監督をさせた場合には検査記録を作成しなくてよい」は誤りです。

また、検査記録には以下の事項を記載しなくてはなりません。

  1. 検査をした製造施設
  2. 検査をした製造施設の設備ごとの検査方法及び結果
  3. 検査年月日
  4. 検査の実施について監督を行った者の氏名

このうち、「検査の実施について監督を行った者の氏名」が時々出ます。

冷媒ガスの種類

令和2年度に一度だけ、「冷媒ガスが不活性ガスである製造施設の場合は行わなくてよい」という誤り問題が出題されました。

可能性として、他の冷媒ガスに置き換わって出題されるかもしれませんが、第一種製造者の定期自主検査に冷媒ガスの種類は関係ありません

保安検査・定期自主検査の比較表

保安検査と定期自主検査は、違いを比較して覚えると効率が良さそうです。

保安検査 定期自主検査
実施者 都道府県知事、高圧ガス保安協会、指定保安検査機関 第一種製造者が自ら行い、冷凍保安責任者が実施を監督する
対象外 ヘリウム、フルオロカーボン21、フルオロカーボン114を冷媒ガスとする製造施設、認定指定設備の部分
内容 製造施設の位置、構造及び設備が技術上の基準に適合しているかどうか 製造施設の位置、構造及び設備が技術上の基準に適合しているかどうか(耐圧試験に係るものを除く)
周期 原則3年に1回 原則1年に1回以上
届出 高圧ガス保安協会、指定保安検査機関による保安検査を受けた場合は、都道府県知事に受検した旨の届出
記録 検査記録の作成・保存の義務