【法令】認定指定設備
認定指定設備に関する冷凍保安規則の規定は、第十一章(第56条~第62条の2)まで存在するにもかかわらず、出題されているのは以下の狭い範囲です。
- 指定設備に係る技術上の基準(冷凍則第57条)
- 指定設備認定証が無効となる変更工事(冷凍則第62条)
例年、設問に「技術上の基準」と指定されていない場合、技術上の基準から2つ、変更工事から1つ出題されます(技術上の基準と指定された令和3年度は変更工事の出題なし)。
また、レアケースとして、平成22年度に異常点検(1日1回)の出題がありますが、これは例外扱いで構わないでしょう。他の年度は定置式製造設備の技術上の基準で出題されています。
技術上の基準(冷凍則第57条)
冷凍則第57条は第14号まであるのに対し、出題が確認できているのは第3号(冷媒設備の組付け)、第4号(気密試験と耐圧試験)、第5号(冷媒設備の搬入)、第12号(冷媒ガスの止め弁)、第13号(自動制御装置)しかありません。
直近10年の出題傾向
組付け | 試験 | 搬入 | 止め弁 | 自動制御 | |
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令和5年度 | 〇 | 〇 | |||
令和4年度 | 〇 | 〇 | |||
令和3年度 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
令和2年度 | 〇 | 〇 | |||
令和元年度 | 〇 | 〇 | |||
平成30年度 | 〇 | 〇 | |||
平成29年度 | 〇 | 〇 | |||
平成28年度 | 〇 | 〇 | |||
平成27年度 | 〇 | 〇 | |||
平成26年度 | 〇 | 〇 |
これをどのように捉えるかは人それぞれですが、他の各号から出題される可能性を踏まえて、余裕があれば第57条の全体に目を通しておくべきだと考えます。今後も同じ出題傾向とは限らないからです。
規定を読む限り、いくらでも他の各号から出題できそうに思えますが……。
冷凍保安規則第57条(クリックで開閉できます)
冷凍保安規則
第五十七条 法第五十六条の七第二項の経済産業省令で定める技術上の基準は、次の各号に掲げるものとする。
一 指定設備は、当該設備の製造業者の事業所(以下この条において「事業所」という。)において、第一種製造者が設置するものにあっては第七条第二項(同条第一項第一号から第三号まで、第六号及び第十五号を除く。)、第二種製造者が設置するものにあっては第十二条第二項(第七条第一項第一号から第三号まで、第六号及び第十五号を除く。)の基準に適合することを確保するように製造されていること。
二 指定設備は、ブラインを共通に使用する以外には、他の設備と共通に使用する部分がないこと。
三 指定設備の冷媒設備は、事業所において脚上又は一つの架台上に組み立てられていること。
四 指定設備の冷媒設備は、事業所で行う第七条第一項第六号に規定する試験に合格するものであること。
五 指定設備の冷媒設備は、事業所において試運転を行い、使用場所に分割されずに搬入されるものであること。
六 指定設備の冷媒設備のうち直接風雨にさらされる部分及び外表面に結露のおそれのある部分には、銅、銅合金、ステンレス鋼その他耐腐食性材料を使用し、又は耐腐食処理を施しているものであること。
七 指定設備の冷媒設備に係る配管、管継手及びバルブの接合は、溶接又はろう付けによること。ただし、溶接又はろう付けによることが適当でない場合は、保安上必要な強度を有するフランジ接合又はねじ接合継手による接合をもって代えることができる。
八 凝縮器が縦置き円筒形の場合は、胴部の長さが五メートル未満であること。
九 受液器は、その内容積が五千リットル未満であること。
十 指定設備の冷媒設備には、第七条第八号の安全装置として、破裂板を使用しないこと。ただし、安全弁と破裂板を直列に使用する場合は、この限りでない。
十一 液状の冷媒ガスが充塡され、かつ、冷媒設備の他の部分から隔離されることのある容器であって、内容積三百リットル以上のものには、同一の切り換え弁に接続された二つ以上の安全弁を設けること。
十二 冷凍のための指定設備の日常の運転操作に必要となる冷媒ガスの止め弁には、手動式のものを使用しないこと。
十三 冷凍のための指定設備には、自動制御装置を設けること。
十四 容積圧縮式圧縮機には、吐出冷媒ガス温度が設定温度以上になった場合に圧縮機の運転を停止する装置が設けられていること。
- 冷媒設備の組付け
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- 冷媒設備は、製造業者の事業所において脚上又は一つの架台上に組み立てられていなければならない
「脚上又は一つの架台上」なので、「脚上」か「一つの架台上」のいずれでも正しいのですが、製造業者の事業所で組み立てられたものでなければならない点が出題されています。「使用場所である事業所」は誤りです。
- 気密試験と耐圧試験
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- 冷媒設備は、製造業者の事業所で行う気密試験及び耐圧試験に合格するものでなければならない
所定の気密試験及び耐圧試験に合格するものであるのは、技術上の基準から当然です。ただし、指定設備では、製造業者の事業所で行う気密試験及び耐圧試験に合格していなければなりません。「試験を行うべき場所については定められていない」は誤りです。
- 冷媒設備の搬入
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- 冷媒設備は、製造業者の事業所において試運転を行い、使用場所に分割されずに搬入されるものでなければならない
搬入の過去問では、製造業者の事業所において試運転を行う点の正誤は問われておらず、使用場所に分割されずに搬入される点がよく出ます。「使用場所に分割して搬入」は誤りです。
- 冷媒ガスの止め弁
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- 日常の運転操作に必要となる冷媒ガスの止め弁には、手動式のものを使用できない
これは簡単ですね。しかも、令和になってから出題頻度が高くなっています。「手動式のものを使用することができる」「手動式のものを使用しなければならない」は誤りです。
- 自動制御装置
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- 自動制御装置を設けなければならない
こちらも簡単です。自動制御の対象には、高圧、低圧、油圧、過負荷など、様々な種類がありますが、自動制御装置の詳細まで問われたことはありません。
認定証が無効となる変更工事(冷凍則第62条)
冷凍則第62条第1項の規定により、認定指定設備に変更の工事を施したとき、移設等(転用を除く)を行ったときは、指定設備認定証が無効となり返納しなければなりません。
例年、この規定に関する出題は、①変更工事で指定設備認定証が無効になる場合がある、②指定設備認定証を返納しなければならない場合があるといった、規定の存在そのもの問われていました。
しかし、冷凍則第62条第1項第1号に定められている指定設備認定証が無効にならない変更工事が、令和5年度に出題されたので要注意です。
- 同等の部品への交換のみの変更工事は、指定設備認定証が無効にならない
こうした新しい出題は、過去問の周回ではカバーできませんし、何が出るかわからないからといって、関係法令の全てを丸暗記するのも無理があります。
試験までの時間や学習効率を考慮しながら判断しましょう。