【法令】危害予防規程・保安教育計画
第一種製造者の危害予防規程と保安教育計画の出題は、以前まで危害予防規程だけの1問とは別に、他の問題で保安教育計画が出されていました。
しかし、令和に入って危害予防規程+保安教育計画の1問に統合されたようです。内訳は、危害予防規程から2つ、保安教育計画から1つになっています。
危害予防規程(法第26条)
危害予防規程に定めるべき事項(冷凍則第35条第2項)が出題されるため、少々覚えるのは面倒ですが、全体として難易度が高い問題ではありません。
- 危害予防規程の届出(法第26条第1項、冷凍則第35条第1項)
- 都道府県知事による変更命令(法第26条第2項)
- 危害予防規程を守るべき者(法第26条第3項)
- 危害予防規程に定めるべき事項(冷凍則第35条第2項)
直近10年の出題傾向
届出 | 変更命令 | 対象者 | 規定事項 | |
---|---|---|---|---|
令和5年度 | 〇 | 〇 | ||
令和4年度 | 〇 | 〇 | ||
令和3年度 | 〇 | 〇 | ||
令和2年度 | 〇 | 〇 | ||
令和元年度 | 〇 | 〇 | ||
平成30年度 | 〇 | ◎ | ||
平成29年度 | 〇 | ◎ | ||
平成28年度 | 〇 | ◎ | ||
平成27年度 | 〇 | ◎ | ||
平成26年度 | 〇 | ◎ |
※「◎」は同年度に2つ出題
このように、出題のメインとなるのは危害予防規程に定めるべき事項です。
なお、冷凍則第35条第3項から第10項(大規模地震・津波に関する他の法令との関連規定)は出題されていません(令和5年度まで)。
危害予防規程のポイント
- 危害予防規程の届出
-
第一種製造者は、危害予防規程を定め、都道府県知事に届け出なければなりません。危害予防規程を変更したときも同様ですが、この点について出題されやすいです。
変更時の出題例(誤)
危害予防規程を定め、これを都道府県知事に届け出なければならないが、その危害予防規定を変更したときは、その旨を都道府県知事に届け出る必要はない。
⇒ 変更時も届け出る必要がある - 都道府県知事による変更命令
-
出題は一度だけですが、公共の安全の維持又は災害の発生の防止のため必要があると認めるときは、都道府県知事から危害予防規程の変更を命じられることがあります。
- 危害予防規程を守るべき者
-
第一種製造者及びその従業者は、危害予防規程を守らなければなりません。「従業者のみ」は誤りです。
- 危害予防規程に定めるべき事項
-
冷凍則第35条第2項は、第1号から第12号まであります。幸いにも、第1号から第12号に規定されていない事項は出たことがなく、肯定的な出題=正しい、否定的な出題=誤りになっています。
肯定的な出題例(正)
- 保安に係る記録に関することは、危害予防規程に定めるべき事項の一つである
- 大規模な地震に係る防災及び減災対策に関することは、危害予防規程に定めるべき事項の一つである
- 危害予防規程には、協力会社の作業の管理に関することについても定めなければならない
否定的な出題例(誤)
- 従業者に対する危害予防規程の周知方法及びその危害予防規程に違反した者に対する措置に関することは、危害予防規程に定めるべき事項ではない
- 危害予防規程には、製造設備の安全な運転及び操作に関することを定めなければならないが、危害予防規程の変更の手続に関することは定める必要がない
ただし、こうした傾向を鵜呑みするのは危険で、冷凍則第35条第2項各号をきちんと覚えないと万全の対策にならないことは言うまでもありません。
以下、出題の多かった順です。
- 従業者に対する当該危害予防規程の周知方法及び当該危害予防規程に違反した者に対する措置(令和5、平成30、平成27、平成21)
- 危害予防規程の作成及び変更の手続(令和2、平成29、平成24、平成21)
- 保安管理体制及び冷凍保安責任者の行うべき職務の範囲(平成27、平成25、平成22)
- 製造設備の安全な運転及び操作(令和2、平成24、平成21)
- 協力会社の作業の管理(令和元、平成29、平成24)
- 製造施設が危険な状態となったときの措置及びその訓練方法(平成30、平成28)
- 保安に係る記録(平成28、平成26)
- 製造施設の保安に係る巡視及び点検(令和3)
- 大規模な地震に係る防災及び減災対策(令和4)
あまり偏らず出題されていること、令和3年度と令和4年度は初出題があったことを踏まえると、以下も軽視できません(特に、製造施設の増設に係る工事及び修理作業の管理)。
- 製造のための施設の位置、構造、設備及び製造の方法における技術上の基準
- 製造施設の増設に係る工事及び修理作業の管理
- その他災害の発生の防止のために必要な事項
なお、出題されたことはありませんが、危害予防規程が守られていないときは、都道府県知事から第一種製造者に対し勧告することができます(法第26条第4項)。
保安教育計画(法第27条)
危害予防規程と保安教育計画が1問になった令和元年度から、保安教育計画で出されたのは1種類だけです。それは、保安教育計画(または実行の結果)を「都道府県知事に届け出るかどうか」です。
- 保安教育計画は、都道府県知事に届け出る必要がない
この傾向が続くなら、保安教育計画は楽勝なのですが、さすがにそれはないと思われます。
平成以前の他の問題に含まれていた保安教育計画(届出以外)のうち、誤りパターンを紹介しますので、もし出題されても引っかからないようにしましょう。
保安教育計画の出題例(誤)
従業者に保安教育を施さなければならないが、その保安教育計画を定める必要はない
⇒ 第一種製造者は、その従業者に対する保安教育計画を定め、忠実に実行しなければなりません。
保安教育計画の出題例(誤)
従業者に対して保安教育を施せば、保安教育計画を定めなくてよい
⇒ 保安教育計画を定めるのは、第一種製造者への法令上の義務です。
保安教育計画の出題例(誤)
保安教育計画は、冷凍保安責任者及びその代理者以外の従業者に対するものとしなければならない
⇒ 保安教育計画の対象は、法令上「従業者」とありますので、全従業者が対象です。
なお、出題されたことはありませんが、危害予防規程と同様に、都道府県知事は必要と認めるときに保安教育計画の変更を命じ、保安教育計画を忠実に実行されていないときは、勧告することができます(法第27条第2項・第5項)。