【法令】冷凍保安責任者・代理者

例年1問出題される冷凍保安責任者とその代理者の問題は、第二種製造者の問題と同様に難易度が低いサービス問題といえるでしょう。

傾向と呼べるほどの特徴はなく、ほとんどの年度で問われるのは次の3つです。

  • 冷凍保安責任者の選任と職務(法第27条の4第1項、冷凍則第36条、第38条)
  • 選任・解任の届出(法第27条の4第2項及び第33条第3項による第27条の2第5項の準用)
  • 代理者の選任(法第33条、冷凍則第39条)

その他、レアケースの出題はありますが、掴みどころがないので個別に説明しています。

冷凍保安責任者の選任と職務

主に問われるのは、第三種冷凍機械責任者を冷凍保安責任者として選任できる冷凍能力で、100トン(選任できない)、90トン(選任できる)、80トン(選任できる)、50トン(選任できる)が出題されています。

  • 第三種冷凍機械責任者を冷凍保安責任者として選任できるのは、1日の冷凍能力が100トン未満
  • 職務の範囲も、1日の冷凍能力が100トン未満の製造設備における製造にかかる保安

【レアケース:令和元年度】
高圧ガスの製造従事者は、「冷凍保安責任者が高圧ガス保安法若しくは高圧ガス保安法に基づく命令又は危害予防規程の実施を確保するためにする指示」に従わなければならないとする出題がありました。該当規定は法第32条第10項です。

【レアケース:平成25年度】
1日の冷凍能力90トンを前提としたうえで、冷凍保安責任者に必要な経験が出題されました。その経験とは、冷凍則第36条第1項に規定された「1日の冷凍能力が3トン以上の製造施設を使用してする高圧ガスの製造に関する1年以上の経験」なのですが、他の年度では「所定の経験」として省略されています。

【レアケース:平成23年度】
定期自主検査の実施について、冷凍保安責任者に監督を行わせなければならないとする出題がありました。該当規定は冷凍則第44条第4項です。

選任・解任の届出

冷凍保安責任者と代理者の違い、選任と解任の違いが問われます。

  • 冷凍保安責任者と代理者のどちらも遅滞なく都道府県知事へ届出が必要
  • 選任と解任のどちらも遅滞なく都道府県知事へ届出が必要

このように、冷凍保安責任者なのか代理者なのか、選任なのか解任なのかは関係ありません。全て遅滞なく都道府県知事へ届出が必要です。したがって、「冷凍保安責任者は届出が必要だが代理者は不要」「選任は届出が必要だが解任は不要」といった出題は全て誤りです。覚えやすいですね。

厳密には、届出時に手続き上の違いがあり、選任は免状の写しの添付が必要、解任は免状の写しの添付が不要(冷凍則第37条、第39条第2項)なのですが、出題はされていません。

代理者の選任等

代理者の出題は大きく分けて2つのパターンがあり、代理者選任のタイミングと代理者選任の要件です。

  • 冷凍保安責任者が職務を行うことができない場合に、代理者がその職務を代行する
  • 代理者にも冷凍保安責任者と同等の免状・経験が必要
  • 代理者が冷凍保安責任者の職務を代行するときは、法の適用において冷凍保安責任者とみなされる

代理者は、冷凍保安責任者が職務を行うことができない場合に備えて選任するため、「あらかじめ選任」しておかなければならず、「直ちに選任」は誤りです。

冷凍保安責任者が職務を行うことができない場合について、「旅行、疾病その他の事故」「旅行、疾病などのため」「旅行などのため」のように出題は複数パターンありますが、冷凍保安責任者が職務を行えないのであれば、その理由は関係ありません

また、代理者が職務代行するときは、冷凍保安責任者とみなされるのですから、代理者にも同等の免状・経験が要請されています。「所定の経験を有しない者」は誤りです。

注意

代理者が第一種冷凍機械責任者免状の交付を受けていても、所定の経験は必要です。上位資格であることを利用した引っかけ問題なので気を付けましょう。