【法令】製造施設の変更・完成検査

平成26年度から、第一種製造者における製造施設の変更と、完成検査を範囲とした設問が毎年1問出題されるようになりました(以前は他の範囲と混ざった全般問題で出ていた)。

出題範囲は狭いのですが、変更内容によって異なる変更工事~使用までの流れをしっかり覚えていないと、引っかかりやすい出題のされ方が多いです(しかも文章が長い)。

なお、法第14条に規定された製造施設等の変更のうち、高圧ガスの種類の変更・製造の方法の変更(いずれも都道府県知事の許可が必要)は、この設問で出題されていません(令和5年度まで)。

変更工事の流れ

前提として、変更工事の内容による手続きの違いがわからないと、この設問は話になりません。許可なのか届出なのか、完成検査が必要なのか不要なのか、必ず出題されますので覚えましょう。

軽微な変更の工事   軽微な変更の工事以外
工事完成 許可
届出 特定変更工事   特定変更工事以外
工事完成 工事完成
完成検査
使用

軽微な変更の工事・・・許可が不要、完成検査が不要、工事完成後に届出
特定変更工事・・・・・許可が必要、工事完成後に完成検査が必要
特定変更工事以外・・・許可が必要、完成検査は不要

製造施設の変更(法第14条)

軽微な変更の工事に該当するかどうかが問われます。

  • 冷媒設備の取替えの工事で、冷媒ガスが可燃性ガス及び毒性ガスではない
  • 冷媒設備に係る切断、溶接を伴う工事ではない
  • 冷凍能力の変更を伴わない
  • 認定指定設備の設置

出題パターンとしては、①切断・溶接、②冷凍能力の変更、③冷媒ガスの種類の組み合わせとなりますが、引っかけは冷媒ガスの種類が多いです。アンモニア(可燃性ガス・毒性ガス)は、問答無用で軽微な変更ではありません

不活性ガス・特定不活性ガスの場合は、切断・溶接の有無、冷凍能力の変更の有無でチェックします。

注意

冷凍能力の算定にかかわる圧縮機の取替えでは、「冷凍能力の変更を伴わないものであっても」と出題されるのに対して、凝縮器の取替えでは、「冷凍能力の変更を伴わないものであっても」が入りません。

また、出題は少ないものの、「ブラインを共通に使用する認定指定設備の増設」も軽微な変更に該当します。

  • 軽微な変更の工事は、工事完成後、遅滞なく都道府県知事に届出
  • 変更工事の許可や完成検査は必要ない

完成検査(法第20条)

完成検査の問題では、変更工事と関係する法第20条第3項が重要です。前述のとおり、特定変更工事かどうかで手続きが変わります(特定変更工事は完成検査が必要)。

幸いなことに、特定変更工事が前提の出題も多いのですが、確実に正解したければ、問題から自分で判断できるレベルまで理解すべきでしょう。

特定変更工事の判断材料として、「アンモニア」「切断、溶接を伴う」の2つが出現の多いキーワードです。

特定変更工事に該当しない変更工事

許可が必要な変更工事であっても、冷凍則第23条に該当する場合は、完成検査が必要ありません

  • 冷媒設備の取替えで、冷媒ガスが可燃性ガス及び毒性ガスではない
  • 冷媒設備に係る切断、溶接を伴う工事ではない
  • 冷凍能力の変更が告示で定める範囲

軽微な変更の工事とまぎらわしいですが、冷凍能力の変更に「告示で定める範囲」が設けられています。

告示で定める範囲とは、製造細目告示第12条の14第3項により「冷凍能力の20%以内」です。ただし、さすがに細かすぎるのか出題は確認できていません。完成検査が不要な変更工事の存在だけ出題されています。

完成検査が不要な変更工事の出題例(正)
製造施設の変更の工事について都道府県知事の許可を受けた場合であっても、完成検査を受けることなくその施設を使用することができる変更の工事がある。

特定変更工事と完成検査

特定変更工事は、工事完成後(「高圧ガスの製造を再開した後遅滞なく」は誤り)、完成検査を受けて技術上の基準に適合していると認めらなければ使用できません。

完成検査を行うのは都道府県知事ですが、高圧ガス保安協会または指定完成検査機関による完成検査を受けた場合は、都道府県知事に受検した旨を届け出ることで、都道府県知事による完成検査を受ける必要がなくなります(保安検査と同様の例外)。

高圧ガス保安協会による完成検査の出題例(正)
製造施設の特定変更工事が完成した後、高圧ガス保安協会が行う完成検査を受け、これが所定の技術上の基準に適合していると認められ、その旨を都道府県知事等に届け出た場合は、都道府県知事等が行う完成検査を受けなくてよい。

高圧ガス保安協会による完成検査の出題例(誤)
特定変更工事が完成した後、高圧ガス保安協会が行う完成検査を受けた場合、これが技術上の基準に適合していると認められたときは、高圧ガス保安協会がその結果を都道府県知事等に報告するので、この事業者は、完成検査を受けた旨を都道府県知事等に届け出る必要はない。
⇒ 受検した旨を都道府県知事に届け出なければならない

製造施設の引渡し

法第20条第2項の規定により、第一種製造者から製造施設の全部又は一部の引渡しを受け、高圧ガスの製造に係る都道府県知事の許可を受けた者は、その製造施設が既に完成検査を受けている場合、完成検査を受けることなく製造施設を使用できます。

令和5年度に出題されたことで、今後も出題される可能性があります。

なお、完成検査とは異なりますが、第一種製造者には譲渡による地位の継承がないため、製造施設の引渡しを受けた者は、新規に製造許可を受けなければならない点に注意してください。