【法令】定置式製造設備(技術上の基準)

定置式製造設備に係る技術上の基準は、冷凍則第7条第1項から出題され、冷媒ガスをアンモニアとする製造設備が2問、冷媒ガスの指定がない製造設備(共通規定)から2問、計4問の出題です。

法令科目20問中4問なので、全て正解できると合格に大きく近づく最重要分野と言えるでしょう。

また、冷凍則第7条第1項は第1号~第17号までありますが、そのうち12個(4問×3つ)出題されるので、4問への対策としては、とても学習効率が高い(勉強が無駄になりにくい)です。

以上の点から、この4問は完璧にしておくことをおすすめします。

冷媒ガスをアンモニアとする製造設備

主に、可燃性ガスまたは毒性ガスを対象とする規定、もしくは対象外とする規定から出題されます。

※()内は冷凍則第7条第1項における号数

  • 製造設備を設置する室の構造(第3号)
  • 安全弁に設ける放出管(第9号)
  • 受液器の液面計(第10号、第11号)
  • 消火設備の設置(第12号)
  • 受液器周囲の流出防止措置(第13号)
  • 電気設備の防爆性能(第14号)
  • 警報設備の設置(第15号)
  • 漏えい時の除害措置(第16号)

直近10年の出題傾向

構造 放出管 液面計 消火 流出防止 電気 警報 除害
令和5年度
令和4年度
令和3年度
令和2年度
令和元年度
平成30年度
平成29年度
平成28年度
平成27年度
平成26年度
製造設備を設置する室の構造

圧縮機油分離器凝縮器若しくは受液器又はこれらの間の配管を設置する室は、アンモニアが漏えいしたとき滞留しないような構造としなければなりません。

誤りパターンは、圧縮機、油分離器、凝縮器、受液器のうち一部に限定、または除外して、「~に限られている」「~については定められていない」などが典型です。

誤りパターンの例

  • 圧縮機と油分離器を設置する室に限られている
  • 凝縮器及び受液器を設置する室に限られている
  • 圧縮機と油分離器を設置する室については定められていない
  • 凝縮器を設置する室については定められていない
安全弁に設ける放出管

アンモニアを大気に放出する安全弁には放出管を設けなければならず、放出管の開口部の位置は、冷媒ガスの性質に応じた適切な位置でなければなりません。

引っかけパターンとして、「専用機械室+強制換気」の場合でも、この規定は適用されます

受液器の液面計

受液器の液面計では2つの規定から出題されます。

1つ目は、丸形ガラス管液面計を使用できないこと、もう1つは、液面計の破損防止措置と、接続する配管に液面計の破損による漏えい防止措置の両方を講じなければならないことです。

2つをミックスした出題も確認できており、次のような誤りパターンがあります。

誤りパターンの例

(破損防止措置の記述)と(漏えい防止措置の記述)のいずれか一方を講じることと定められている
⇒ 破損防止措置と漏えい防止措置の両方が必要

液面計の破損を防止するための措置を講じれば、丸形ガラス管液面計を使用することができる
⇒ 丸形ガラス管液面計は使用できない

丸形ガラス管液面計以外のガラス管液面計を使用する場合は、破損を防止するための措置を講じなくてもよい
⇒ 破損を防止するための措置は講じなければならない(漏えい防止措置も)

消火設備の設置

製造施設の規模に応じて、適切な消火設備を適切な箇所に設けなければなりません。アンモニアは可燃性ガスですから、これはわかりやすいですね。

受液器周囲の流出防止措置

内容積が1万リットル以上の受液器の周囲には、液状のアンモニアが漏えいした場合にその流出を防止するための措置を講じなければなりません。

この問題に関しては、毎年出題されるわりに内容積以外が問われたことはないので、「1万リットル以上」を忘れないようにしましょう。過去問では、3000リットル、4000リットル、5000リットル、6000リットルと、1万リットル未満が盛りだくさんです。

電気設備の防爆性能

冷媒ガスがアンモニアの場合に、最も注意すべき問題。令和5年度は8年ぶりに出題されました。

可燃性ガスを冷媒ガスとする冷媒設備に係る電気設備は、設置場所及びガスの種類に応じた防爆性能を有する構造としなければなりませんが、この規定は、アンモニアの場合に適用されません

つまり、アンモニア+電気設備の問題は、防爆性能を有する構造のものと「すべきものに該当しない」「すべき定めはない」が正しいです。

問題文を読んだ瞬間、直感的に誤りだと感じてしまうのか、当サイトにおいて、電気設備が出題された過去問は著しく正解率が低いので気を付けてください。

警報設備の設置

製造施設には、漏えいしたアンモニアが滞留するおそれのある場所に、漏えいを検知し、かつ、警報するための設備を設けなければなりません。

引っかけパターンとして、「専用機械室」の場合でも、この規定は適用されます。適用除外は吸収式アンモニア冷凍機の場合ですが、設問上、吸収式アンモニア冷凍機は除外されます。

漏えい時の除害措置

製造設備には、アンモニアが漏えいしたときに安全に、かつ、速やかに除害するための措置を講じなければなりません。

引っかけパターンとして、「専用機械室」「安全弁に放出管を設置」の場合でも、この規定は適用されます。適用除外は吸収式アンモニア冷凍機の場合ですが、設問上、吸収式アンモニア冷凍機は除外されます。

冷媒ガスの指定がない製造設備

アンモニア問題で出題されない共通規定が出題範囲です。

ただ、問題文のバリエーションがとても多く、きちんと読んで正誤を判断しないとならない分だけ、アンモニア問題よりも難易度高めかもしれません。

※()内は冷凍則第7条第1項における号数

  • 製造設備の設置場所(第1号)
  • 警戒標の掲示(第2号)
  • 耐震性能が必要な設備(第5号)
  • 気密試験と耐圧試験(第6号)
  • 圧力計の設置(第7号)
  • 安全装置の設置(第8号)
  • バルブ又はコックへの措置(第17号)

直近10年の出題傾向

設置場所 警戒標 耐震 試験 圧力計 安全装置 バルブ等
令和5年度
令和4年度
令和3年度
令和2年度
令和元年度
平成30年度
平成29年度
平成28年度
平成27年度
平成26年度

※「◎」は同年度に2つ出題

直近10年において「警戒標」は出題されていませんが、古い過去問に出題があります。

また、冷凍則第7条第1項第4号の「製造設備は、振動、衝撃、腐食等により冷媒ガスが漏れないものであること」は、出題が確認できていません。当たり前すぎる内容なので、仮に出題されても間違えないでしょう。

その他、共通規定の全体を通じて言えるのは、冷媒ガスの指定がないため不活性ガスであっても適用されます。混乱目的なのか時々出ますので注意しましょう。

製造設備の設置場所

圧縮機油分離器凝縮器若しくは受液器又はこれらの間の配管は、引火性又は発火性の物(作業に必要なものを除く。)をたい積した場所及び火気(その製造設備内のものを除く。)の付近にあってはなりません。

この規定の適用除外は、火気に対して安全な措置を講じた場合のみです。「不活性ガスには適用されない」「認定指定設備には適用されない」は誤りです。

警戒標の掲示

製造施設には、当該施設の外部から見やすいように警戒標を掲げなければなりません。出題が少ないため、誤りパターンと呼べる傾向もないのですが、警戒標の掲示に例外なしと覚えておきましょう。

耐震性能が必要な設備

技術上の基準として耐震性能が求められるのは、凝縮器受液器配管、並びにこれらの支持構造物及び基礎の4つです。ただし、他にも適用条件がありますので、まとめると次のようになります。

  • 縦置円筒形で胴部の長さが5m以上の凝縮器
  • 内容積が5000リットル以上の受液器
  • 外径45mm以上で、内容積が3m3以上の地上設置配管
  • 外径45mm以上で、凝縮器及び受液器に接続されている地上設置配管
  • これらの支持構造物及び基礎

多くの出題は、内容の正誤にかかわらず、上記適用条件との比較です。また、この規定は不活性ガスにも適用されます

耐震性能が必要な設備の出題例(正)

凝縮器が横置円筒形で胴部の長さが5メートルのものは該当しない
⇒ 横置円筒形なので該当しない

横置円筒形の凝縮器は、その胴部の長さにかかわらず、所定の耐震性能を有すべき定めはない
⇒ 横置円筒形なので定めはない

縦置円筒形かつ胴部の長さが4メートルの凝縮器は該当しない
⇒ 胴部の長さが5m未満なので該当しない

内容積が3000リットルの受液器は、所定の耐震性能としなくてよい
⇒ 内容積が5000未満なので適用されない

耐震性能が必要な設備の出題例(誤)

縦置円筒形で胴部の長さが5メートルの凝縮器は、所定の耐震性能が必要ない
⇒ 縦置円筒形で胴部の長さが5メートルは耐震性能が必要

内容積が所定の値以上の受液器並びにその支持構造物及びその基礎を、所定の耐震性能とする定めは、不活性ガスである場合に適用されない
⇒ 不活性ガスでも適用される

気密試験と耐圧試験

令和に入ってから、気密試験と耐圧試験の両方が出るケースが目立つようになりました。気密試験と耐圧試験では、耐圧試験を先に行う都合上、耐圧試験から説明します。

試験の実施者特例について

令和4年10月1日施行の法改正により、これまで「経済産業大臣がこれらと同等以上のものと認めた高圧ガス保安協会が行う試験」とされていたものが、「当該冷媒設備の製造をする者であって、試験方法、試験設備、試験員等の状況により試験を行うことが適切であると経済産業大臣が認めるものの行う耐圧試験」になりました。

【耐圧試験】

耐圧試験は、配管以外の部分について行いますが、試験対象を問われる出題はありません(保安管理技術では時々出る)。問われるのは試験方法です。

  • 耐圧試験は許容圧力の1.5倍以上の圧力で水その他の安全な液体を使用して行う
  • 耐圧試験に液体を使用することが困難であると認められるときは、許容圧力の1.25倍以上の圧力で空気、窒素等の気体を使用して行うことができる

上記の組み合わせと異なる誤りパターンが出題されやすいです。

耐圧試験の出題例(誤)

水その他の安全な液体を使用する場合、許容圧力の1.25倍の圧力で行わなければならない
⇒ 液体を使用する耐圧試験は許容圧力の1.5倍以上

空気、窒素等の気体を使用して許容圧力以上の圧力で行うことができる
⇒ 気体を使用する耐圧試験は許容圧力の1.25倍以上

【気密試験】

気密試験は、「配管の変更の工事後の完成検査」と一緒に出題されますが、問われているのは試験圧力です。耐圧試験と異なり、気密試験には試験圧力の例外規定がありません

  • 気密試験は許容圧力以上の圧力で行う
圧力計の設置

圧力計のポイントは「強制潤滑方式で潤滑油圧力に対する保護装置を有する圧縮機」の存在です。

冷媒設備には圧力計を設けなければなりませんが、強制潤滑方式で潤滑油圧力に対する保護装置を有する圧縮機の「油圧系統」には適用されません

出題のほとんどにこの点が含まれているので、よく読んで間違えないようにしましょう。

  • 強制潤滑方式で潤滑油圧力に対する保護装置を有する圧縮機の場合でも、油圧系統以外には圧力計が必要

また、圧力計と安全装置の有無は関連しておらず、「安全装置を設けた場合、圧力計を設ける必要はない」は誤りです。

安全装置の設置

安全装置では、その作動条件が問われます。

  • 安全装置は冷媒ガスの圧力が許容圧力を超えた場合に直ちに許容圧力以下に戻す

実際の出題では、安全装置が作動する圧力、安全装置作動後に戻る圧力の両方に誤りパターンがあります。

安全装置(誤)

許容圧力の1.5倍を超えた場合に直ちに許容圧力の1.5倍以下に戻す
⇒ 許容圧力の1.5倍を超えた場合と、許容圧力の1.5倍以下に戻すの両方が誤り

許容圧力の1.5倍を超えた場合に直ちにその圧力を許容圧力以下に戻す
⇒ 許容圧力の1.5倍を超えた場合だけが誤り

耐圧試験の圧力を超えた場合に直ちにその圧力以下に戻すことができる
⇒ 耐圧試験圧力が誤り

耐圧試験圧力を超えた場合に直ちに、その設備の運転を停止する
⇒ 耐圧試験圧力が誤り、安全装置は運転を停止するものではない

また、いかにも安全装置が不要と思わせる文言を追加した出題も見られ、「自動制御装置を設ければ安全装置は必要ない」「圧力を常時監視すれば安全装置は必要ない」は誤りです。

バルブ又はコックへの措置

製造設備に設けたバルブ又はコック(以下、バルブ等)には、作業員が適切に操作することができるような措置を講じなければなりません。

適切に操作することができるような措置とは、例えば、開閉方向や開閉状態の明示などですが、措置の詳細まで問われたケースはありません。

また、操作ボタン等で開閉する場合、措置を講じるべき対象は操作ボタン等です。操作ボタン等での開閉でも適用されるので注意しましょう。

なお、冷媒ガスの種類は関係ありません。「不活性ガスには措置を講じなくてよい」「フルオロカーボンには措置を講じなくてよい」など、特定の冷媒ガスを例外とした出題は誤りです。