【法令】適用除外・事業関連(製造等)
例年2問に分かれて出題され、2問で計6つの正誤が問われます。
出題範囲は、高圧ガス保安法第3条の適用除外、第2章の事業(製造の許可等、承継、施設等の変更、販売事業の届出、廃止等の届出、廃棄)、第57条の機器製造業者まで含み幅広いです。
また、各出題範囲の組み合わせは決まっておらず、全範囲を網羅しておかないと2問とも落とす可能性があります。
直近10年の出題傾向(各年度2問分)
適用除外 | 製造 | 承継 | 変更 | 販売 | 廃止 | 廃棄 | 機器製造 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
令和5年度 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
令和4年度 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
令和3年度 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
令和2年度 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
令和元年度 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
平成30年度 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
平成29年度 | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 | ||||
平成28年度 | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 | |||
平成27年度 | 単 | 〇 | 〇 | |||||
平成26年度 | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 |
※「◎」は同年度に2つ出題、「単」は該当範囲単体(3つ)の出題
※平成29年度は引渡しから1つ出題、平成27年度・平成26年度は法の目的から1つ出題
適用除外(法第3条)
出題されるのは、冷凍設備内における高圧ガス(法第3条第1項第9号、令第2条第5項第3号・第4号)です。
- 1日の冷凍能力が3トン未満 ⇒ 冷媒ガスの種類にかかわらず適用除外
- 1日の冷凍能力が3トン以上5トン未満 ⇒ 冷媒ガスの種類によって(第一種ガスは)適用除外
第一種ガス(令第2条第5項第3号)
ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン、窒素、二酸化炭素、フルオロカーボン(難燃性を有するものとして経済産業省令で定める燃焼性の基準に適合するもの)、空気
注意
1日の冷凍能力が3トン以上5トン未満の設問では、フルオロカーボンがよく出ますが、令和3年10月27日の改正まで「不活性のものに限る」となっていました。令和3年10月27日からは「難燃性を有するものとして経済産業省令で定める燃焼性の基準に適合するもの」に変わったので気を付けましょう。
製造の許可等(法第5条)
ほぼ製造の許可(第一種製造者)に関する要件の出題ですが、届出(第二種製造者)が出題されたこともあります。
1日の冷凍能力、冷媒ガスの種類に加え、許可と届出の違いまで覚えるのは大変ですが、製造の許可等は複数回出題されることがあるほど重要です。
製造の許可と届出
3t未満 | 3t~5t未満 | 5t~20t未満 | 20t~50t未満 | 50t以上 | |
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第一種ガス(※) | 適用除外 | 届出 | 許可 | ||
難燃性以外のフルオロカーボン・アンモニア | 適用除外 | 届出 | 許可 | ||
その他のガス | 適用除外 | 届出 | 許可 |
※ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン、窒素、二酸化炭素、難燃性フルオロカーボン、空気
過去問の出題パターン
- 冷媒ガスがアンモニア
-
1日の冷凍能力が50トン、100トンで出題されています。いずれの場合も50トン以上なので許可が必要です。
- 冷媒ガスがフルオロカーボン
-
フルオロカーボンでは、1日の冷凍能力が30トン、40トンで出題されています。いずれの場合も50トン未満なので許可は必要ありません。
- 冷凍能力の最小値と冷媒ガスの種類
-
「許可を受けなければならない場合の1日の冷凍能力の最小の値は、冷媒ガスである高圧ガスの種類に関係なく同じ」とする問題です。上表のとおり、冷媒ガスの種類で許可要件は異なるため誤りです。
- 認定指定設備のみを使用
-
認定指定設備のみ(冷凍能力は必ず50トン以上)を使用する場合、許可は必要ありません。
- 第二種製造者が届け出る時期
-
「製造開始の日の20日前」までに届け出ます。
承継(法第10条・第10条の2)
出題が多いわけではありませんが、第一種製造者と第二種製造者で扱いが異なる点に要注意です。
- 第一種製造者の地位は、相続・合併・分割によって、相続人・法人が承継
- 第二種製造者の地位は、全部譲渡・相続・合併・分割によって、譲受人・相続人・法人が承継
- 地位を承継した者は、遅滞なく、事実を証する書面を添えて都道府県知事に届出
承継の出題例(誤)
冷凍のため高圧ガスの製造をする第一種製造者がその高圧ガスの製造の事業の全部を譲り渡したときは、その事業の全部を譲り受けた者はその第一種製造者の地位を承継する。
⇒ 第一種製造者の地位の承継に全部譲渡は含まれない
施設等の変更(法第14条)
過去問では第一種製造者しか出ておらず、第二種製造者が今後出題されるかは不明です。
また、平成26年度からは第一種製造者における製造施設の変更工事に別の設問がありますので、ここでの出題は基本的な内容になっています。平成25年度までは、ノンカテゴリの全般問題でも出題されていました。
変更箇所と手続き
第一種製造者 | 第二種製造者 | ||
---|---|---|---|
製造施設の位置、構造又は設備 | 軽微な変更以外 | 許可 | あらかじめ届出 |
軽微な変更 | 工事完成後遅滞なく届出 | 届出不要 | |
高圧ガスの種類 | 許可 | あらかじめ届出 | |
製造の方法 | 許可 | あらかじめ届出 |
出やすいのは冷媒ガスの種類の変更で、第一種製造者は必ず許可を受けなければなりません(第二種製造者はあらかじめ届出)。
また、製造施設の位置、構造又は設備の変更においては、軽微な変更の内容も問われます。
軽微な変更の出題内容
軽微な変更は、第一種製造者が冷凍則第17条、第二種製造者が冷凍則第19条に規定されています。両規定に若干の違いはありますが、重要かつ出題されやすいのは「製造設備の取替え」です。
製造設備の取替えが軽微な変更に該当するためには、主に次の3つの要件を満たさなければなりません。
- 冷媒設備の取替えの工事で、冷媒ガスが可燃性ガス及び毒性ガスではない
- 冷媒設備に係る切断、溶接を伴う工事ではない
- 冷凍能力の変更を伴わない
軽微な変更の出題例(誤)
第一種製造者がアンモニアを冷媒ガスとする製造設備の圧縮機の取替えの工事を行う場合、切断、溶接を伴わない工事であって、その設備の冷凍能力の変更を伴わないものであれば、その完成後遅滞なく、都道府県知事にその旨を届け出ればよい。
⇒ 冷媒ガスがアンモニアなので軽微な変更に該当しない
販売事業の届出(法第20条の4)
出題が多いのは、届出を「事業の開始後遅滞なく」とする誤りパターンで、正しくは「事業開始の日の20日前まで」の届出です。
つまり、事前届出制になっており、素早さをイメージさせる「遅滞なく」に引っかからないよう注意しましょう。
- 販売事業は許可ではなく届出制
- 販売事業の届出は販売所ごとに必要(事業所ごとではない)
- 事業開始の日の20日前までに届出が必要(事業開始後遅滞なくではない)
なお、法第20条の4は、届出不要となる2つの例外を定めていますが、「特に定められた場合を除き」などの文言と一緒に出題され、その内容までは問われていません(令和5年度まで)。
廃止等の届出(法第21条)
廃止等の届出は出題が少ないです。
- 第一種製造者は、高圧ガスの製造の開始・廃止のどちらも届出が必要
- 第二種製造者は、高圧ガスの製造の廃止で届出が必要
- 販売業者は、高圧ガスの販売事業の廃止で届出が必要
- 届出の時期は、いずれも「遅滞なく」
廃止等の届出の出題例(誤)
第一種製造者は、高圧ガスの製造を開始したときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事等に届け出なければならないが、高圧ガスの製造を廃止したときは、その旨を届け出る必要はない。
⇒ 製造の開始と廃止の両方で届け出なければならない
廃棄(法第25条)
技術上の基準に従って廃棄すべき高圧ガスの種類が問われます。対象の高圧ガスは冷凍則第33条に規定されており、可燃性ガス、毒性ガス、特定不活性ガスです。
注意
特定不活性ガスが追加されたのは平成28年11月1日からです。それ以前の過去問では「可燃性ガス及び毒性ガスに限られる」となっていて、現在は誤りなので気を付けましょう。
参考までに、冷媒ガスが特定される場合はアンモニアが多く、可燃性ガス及び毒性ガスですから、技術上の基準に従って廃棄しなければなりません。
機器製造業者(法第57条)
問われるのは、機器製造業者が所定の技術上の基準に従って製造すべき機器の冷凍能力です。
- 原則は1日の冷凍能力が3トン以上の冷凍機
- ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン、窒素、二酸化炭素、フルオロカーボン(可燃性ガスを除く。)、空気は5トン以上
注意
1日の冷凍能力が5トン以上とされる冷媒ガスは、令和3年10月27日の改正前まで「二酸化炭素及びフルオロカーボン(可燃性ガスを除く)」、平成29年7月25日の改正前まで「フルオロカーボン(不活性のものに限る)」でした。古い過去問では注意してください。
傾向と対策一覧
※未対応の出題分野は今後追加されます