【保安】凝縮器・冷却塔
直近10年の出題傾向
| 水冷式 | 空冷式 | 蒸発式 | 凝縮負荷 | 不凝縮ガス | 過充填 | |||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 凝縮器 | 冷却塔 | 水あか | ||||||
| 令和6年度 | ◎ | 〇 | 〇 | |||||
| 令和5年度 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
| 令和4年度 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
| 令和3年度 | ◎ | 〇 | 〇 | |||||
| 令和2年度 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
| 令和元年度 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
| 平成30年度 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
| 平成29年度 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
| 平成28年度 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
| 平成27年度 | ◎ | 〇 | 〇 | |||||
※「◎」は同年度に2つ出題
出題傾向からわかるように、必ず出る水冷式はしっかり学習しておくべきです。
水冷式凝縮器
- 凝縮器
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メインはシェルアンドチューブ凝縮器で、まれに二重管凝縮器が出ます。
- 円筒胴、管板、冷却管などによって構成される
- 円筒胴の内側と冷却管の間を冷媒が流れ、冷却管内に冷却水が流れる
- 冷却管の材質・形状:アンモニアでは鋼製の裸管、フルオロカーボンでは銅製のローフィンチューブ
- 伝熱面積は、冷媒に接する冷却管外表面の合計面積
構成の正誤問題は出題されていませんが、「冷却管に冷媒が流れる」「アンモニアに銅製の冷却管」「伝熱面積は冷却管全体の内表面積」といった誤りが出題されています。
- 内管に冷却水が流れ、外管と内管の間に冷媒が流れる
どちらも冷媒と冷却水の位置関係は同じです。冷却水が流れる管の外側(シェルアンドチューブなら円筒胴と冷却管の間、二重管なら外管と内管の間)を冷媒が流れます。
なお、フルオロカーボン冷媒に接する冷却管外面は、ローフィンやワイヤーフィンで伝熱面積を大きくしています。これは、フルオロカーボン冷媒と冷却管外面における熱伝達率が、冷却管内面と冷却水における熱伝達率よりも小さいためです。
この点が出題されたケースもあるので頭に入れておきましょう。
出題例
水冷凝縮器の伝熱管において、フルオロカーボン冷媒側の管表面における熱伝達率は水側の熱伝達率より小さく(誤:大きく)、冷媒側の管表面(誤:水側の管表面)に溝をつけて表面積を大きくしている。
- 冷却塔
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ここ10年で急に出題率が高くなりました。具体的な種類の出題は開放型冷却塔のみです。
- 冷却水の一部が蒸発する潜熱で冷却水自身が冷却される
- 蒸発分や水質管理で冷却水は補給の必要がある
- 冷却塔の性能は、水温、水量、風量、湿球温度で定まる
- 冷却塔の出口水温と周囲空気の湿球温度との差はアプローチと呼び、通常5K程度
- 冷却塔の入口と出口の水温差はクーリングレンジと呼び、通常5K程度
また、出題は確認できていませんが、冷却水の補給量は、通常、循環水量に対して2%前後とされています。いつか出題されそうなので覚えておきましょう。
冷却水の温度イメージ(外気湿球温度25℃)
冷却塔入口(35℃) ⇒ 一部が蒸発 ⇒ 冷却塔出口(30℃)
⇒ 凝縮器入口(30℃) ⇒ 冷媒と熱交換 ⇒ 凝縮器出口(35℃)
⇒ 冷却塔入口(35℃)に循環※アプローチ=冷却塔出口(30℃)-外気湿球温度25℃=5℃
※クーリングレンジ=冷却塔入口(35℃)-冷却塔出口(30℃)=5℃ - 水あか
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水あかの付着による影響が問われます。出題パターンが決まっているので確実に正解したい。
- 水あかは熱伝導率が小さい(熱の流れを妨げる)
- 水あかが付着すると……熱通過率が低下、凝縮温度・凝縮圧力が上昇、圧縮機動力が増加
- 水あかの熱伝導抵抗は汚れ係数で表される
要するに、水あかは伝熱に良くないという基本を押さえておけば大丈夫です。
出題例
水あかは熱伝導率が小さく(誤:大きく)、熱の流れを妨げる。その結果、熱通過率が小さく(誤:大きく)なり、凝縮器能力が減少し、凝縮温度が上昇する(誤:低くなる)ので、圧縮機の軸動力は増加する。
冷却管内の水速について
令和6年度に出題されるまで、かなり長期間出ていなかったようです。
冷却管を流れる冷却水の水速を上げると、熱通過率は増加しますが、その増加割合は次第に鈍化し、水速を2倍にしても、熱通過率は2倍に達しません。
また、水速を上げると圧力損失は増加しますので、より大きなポンプ動力が必要になり、腐食や耐圧の問題など、デメリットも大きくなります。
したがって、水速を上げて得られる伝熱性能の向上と、デメリットとのバランスから最適値は決まり、水速は1~3m/sが適切とされています。
空冷式凝縮器
冷却媒体が空気になることで、何が変わるか覚えましょう。
- 冷媒の凝縮に空気の顕熱を用いる
- 水冷凝縮器より熱通過率が小さく、冷媒の凝縮温度が高くなる
- 冷却管内を冷媒が流れ、フィンのついた冷却管外側を空気が流れる
- 凝縮器に入る空気の流速を前面風速といい、1.5m/s~2.5m/s
- 一般的な設計条件は、入口空気乾球温度が約32℃(令和6年度に初出)
水冷凝縮器と逆で、空冷凝縮器では冷媒が冷却管内を流れ、冷却管外の空気によって冷やされます。
水冷凝縮器の冷媒と冷却水の関係と同様に、空冷凝縮器では、空気と冷却管外面、冷却管内面と冷媒との熱伝達率に差があるため、空気を冷却管外に流し、フィンを付けて伝熱面積を増やします。
蒸発式凝縮器
空冷式よりも出題は少ない。他の方式との比較問題が多い。
- 主にアンモニア冷凍装置で使用される
- 冷却管コイルに冷媒を流し、散水ヘッダから水を散布して蒸発潜熱で冷却する
- 空冷凝縮器よりも凝縮温度を低く保つことができる
- 水冷凝縮器よりも凝縮温度を低く保つことができる
- 蒸発分や水質管理で冷却水は補給の必要がある
蒸発式凝縮器は、水冷凝縮器の冷却塔の仕組みを、冷媒の冷却に使うとイメージすれば覚えやすいのではないでしょうか。冷媒は冷却管内を流れます。
水の蒸発潜熱を直接使うため、外気湿球温度の上下と凝縮温度の上下が連動、つまり、外気湿球温度が下がると凝縮温度も下がるのですが、外気湿球温度が上がると(蒸し暑い時期は)当然に冷却能力は低下します。
凝縮負荷
出題頻度が低く、ひねった問題は確認できていません。
- 凝縮負荷は、冷媒を凝縮させるために冷媒から取り出す熱量(単位kW)
- 凝縮負荷\(Φ_k=\)冷凍能力\(Φ_o+\)圧縮機軸動力\(P_{th}\)
実際には「凝縮負荷は冷凍能力に圧縮機駆動の軸動力を加えて求める」のように文章で出題されますが、上記の式を覚えていたら間違えないはずです。
不凝縮ガス
不凝縮ガス(主に空気)は保守管理の設問でも出題されるのですが、凝縮器の設問で出た場合、凝縮への影響が問われます。
- 不凝縮ガスが混入すると、熱伝達が不良となり、凝縮圧力が上昇する
熱伝達が悪くなる点は誤りパターンが確認できず、「凝縮圧力が低下」の誤りが典型的です。
冷媒の過充塡
忘れた頃に出題される程度で、最後に出題されたのは平成28年度です。
- 冷媒を過充填すると、受液器の液面が上昇する
- 受液器を持たない凝縮器では、凝縮に有効な伝熱面積が減少、凝縮温度・凝縮圧力が上昇、過冷却度が上昇する
受液器は、冷媒液量の変動を吸収する役割があるので、冷媒の過充填により液量が増えるのは理解できるでしょう。出題されているのは、受液器を持たない凝縮器の場合です。
受液器を持たない凝縮器で冷媒を過充填すると、水冷なら凝縮器出口側の冷却管が、より多くの冷媒液に浸され、空冷では凝縮器出口側の冷却管内により多くの冷媒液が溜まります。
その結果、冷媒ガスを凝縮させるための伝熱面積が物理的に減りますので、凝縮温度は高くなります。一方、凝縮器出口側に溜まった冷媒液は、さらに冷却されることになりますから、過冷却度が上昇します。