[事例(問題67、問題68で共通)]
Fさん(70歳、男性、要介護1)は、認知症(dementia)を患う母と二人暮らしである。左片麻痺があり、杖があれば一人で歩行できる。現在は、小規模多機能型居宅介護を利用して在宅生活を送っている。昔から買物が好きで、今でも天気の良い日には、一人で杖をついて買物に出かけていく。
Fさんの小規模多機能型居宅介護における介護計画の長期目標は「安全に買物に出かける」、短期目標は「転倒しない」で、支援内容には「事業所内で手すりを使って起立訓練と歩行訓練を行う」と設定されて、順調に実施されている。
最近、近所の人から、Fさんがスーパーに向かう途中にある階段が上り切れず、よろけたり、困っている姿を見かけたという情報がたびたび聞かれるようになった。この件をG介護福祉職がFさんに確認すると、Fさんは「足元が少し不安なところがありますが、大丈夫です。いつもありがとうございます」と言い、目に涙を浮かべた。
Fさんの介護計画の評価に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1:近所の人からの情報は、評価には不要である。
2:「安全に買物に出かける」という目標は達成した。
3:手すりを使った起立訓練と歩行訓練を見直す必要がある。
4:事業所内での訓練は順調なので、このまま継続する。
5:Fさんの発言から満足していると評価した。
答:3
1:誤り。近所の人からの情報も、評価には重要である。
2:誤り。Fさんが、階段を上り切れず、よろけたり、困っている姿を見かけたという情報がたびたび寄せられている。「安全に買物に出かける」という目標は達成していない。
3:正しい。長期目標である「安全に買物に出かける」、短期目標である「転倒しない」を達成するために、訓練内容を見直す必要がある。
4:誤り。現在の事業所内での訓練は順調であっても、「安全に買物に出かける」ためには訓練内容を見直す必要がある。
5:誤り。Fさんは「大丈夫です。いつもありがとうございます」と言ったが、目には涙を浮かべていた。このことからFさんが心から満足していると評価することはできない。