〔事例(問題112から問題114まで共通)〕
Jさん(72歳、女性)は活動的で友人と買い物や旅行などによく行っていた。娘(40歳)は働いているため、Jさんは家事全般を引き受けていた。しかし、4か月前に路上で転倒し大腿(たい)骨頸(けい)部骨折(femoral neck fracture)をした。入院治療を行い退院し、多少は歩くことができるようになったが、要介護1と認定され、訪問介護が導入された。退院後のJさんは気力の低下が著しく、家から出ることがなくなったが、友人が毎日Jさんを訪問していた。この頃からJさんはいらいらしやすい、気が焦る、よく眠れないと訴えるようになった。病院受診の結果うつ病(depression)と診断され内服治療が開始された。最近はちょっとしたことをあれこれ心配し、「お腹が痛むから、がん(cancer)ではないかしら・・・」と言い出した。
うつ病と診断され2か月が経過した。Jさんのいらいらや気が焦るなどの症状も軽減してきたが、ある日訪問すると「消えてしまいたいと思う時があるの」と言った。訪問介護員の対応として、適切なものを一つ選びなさい。
1:隣人を訪問するように助言した。
2:Jさんの状況について医療職に伝えた。
3:簡単な調理を一緒に行った。
4:気持ちを明るくもつよう指導した。
5:激励の言葉をかけるように娘にメモを残した。
答:2
1:誤り。Jさんと隣人との関係は不明であり、訪問するように助言することは適切とはいえない。
2:正しい。Jさんに自殺願望があると考えられ、すぐに医療職とともに対策を講じる必要がある。
3:誤り。簡単な調理を一緒に行うことは、自殺願望のあるJさんに有効とはいえない。
4:誤り。うつ病で自殺願望のあるJさんに気持ちを明るくもつよう指導することは逆効果となるおそれがある。
5:誤り。うつ病で自殺願望のあるJさんには、激励の言葉は逆効果になるおそれがある。
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