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R4-CBT-問30

運行管理者が次の事業用普通トラックの事故報告に基づき、事故の要因分析を行ったうえで、同種事故の再発を防止するための対策として、【最も直接的に有効と考えられるものを<事故の再発防止対策>から3つ】選びなさい。なお、解答にあたっては、<事故の概要>及び<事故関連情報>に記載されている事項以外は考慮しないものとする。

<事故の概要>
当該トラックは、17時頃、霧で見通しの悪い高速道路を走行中、居眠り運転により渋滞車列の最後尾にいた乗用車に追突し、4台がからむ多重衝突事故が発生した。
当時、霧のため当該道路の最高速度は時速50キロメートルに制限されていたが、当該トラックは追突直前には時速80キロメートルで走行していた。

1.<事故関連情報>
○ 当該運転者(35歳)は、事故日前日、運行先に積雪があり、帰庫時間が5時間程度遅くなって業務を早朝5時に終了した。その後、事故当日の正午に乗務前点呼を受け出庫した。
○ 当該運転者は、事故日前1ヵ月間の勤務において、拘束時間及び休息期間について複数回の「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(以下「改善基準告示」という。)違反があった。
○ 月1回ミーティングを実施していたが、交通事故を惹起した場合の社会的影響の大きさや疲労などによる交通事故の危険性などについての指導・教育が不足していた。
○ 当該運転者は、事業者が行う定期健康診断において、特に指摘はなかった。

2.<事故の再発防止対策>

① 運行管理者は、運転者に対して、交通事故を惹起した場合の社会的影響の大きさや過労が運転に及ぼす危険性を認識させ、疲労や眠気を感じた場合は直ちに運転を中止し、休憩するよう指導を徹底する。

② 事業者は、運転者に対して、疾病が交通事故の要因となるおそれがあることを理解させ、健康診断結果に基づき、生活習慣の改善を図るなど、適切な心身の健康管理を行うことを理解させる。

③ 運行管理者は、「改善基準告示」に違反しないよう、適切な乗務割を作成するとともに、点呼の際適切な運行指示を行う。

④ 運行管理者は、法定等に定められた適齢診断を運転者に確実に受診させるとともに、その結果を活用し、個々の運転者の特性に応じた指導を行う。

⑤ 運行管理者は、点呼を実施する際、運転者の体調や疲労の蓄積などをきちんと確認し、疲労等により安全な運転を継続することができないおそれがあるときは、当該運転者を交替させる措置をとる。

⑥ 法令で定められた日常点検及び定期点検整備を確実に実施する。その際、速度抑制装置の正常な作動についても、警告灯により確認する。

答:①、③、⑤

① 正しい。月1回ミーティングを実施していたが、交通事故を惹起した場合の社会的影響の大きさや疲労などによる交通事故の危険性などについての指導・教育が不足していた。運行管理者が、運転者に対して、交通事故を惹起した場合の社会的影響の大きさや過労が運転に及ぼす危険性を認識させ、疲労や眠気を感じた場合は直ちに運転を中止し、休憩するよう指導を徹底することが、同種事故の再発防止策として直接的に有効である。

② 誤り。事故は運転者の疾病によるものではなく、当該運転者は、事業者が行う定期健康診断において、特に指摘はなかった。よって、運転者に対して、疾病が交通事故の要因となるおそれがあることを理解させ、健康診断結果に基づき、生活習慣の改善を図るなど、適切な心身の健康管理を行うことを理解させることが、同種事故の再発防止策として直接的に有効とはいえない。

③ 正しい。事故は居眠り運転によるもので、当該運転者は休息期間を8時間とることができていなかった。また、事故日前1ヵ月間の勤務において、拘束時間及び休息期間について複数回の改善基準告示違反があった。よって、運行管理者は、改善基準告示に違反しないよう、適切な乗務割を作成するとともに、点呼の際適切な運行指示を行うことが、同種事故の再発防止策として直接的に有効である。

④ 誤り。当該運転者(35歳)は、適齢診断の対象となる65歳に達しておらず、運行管理者が、適齢診断の結果を活用し、個々の運転者の特性に応じた指導を行うことが、同種事故の再発防止策として直接的に有効とはいえない。

⑤ 正しい。事故は居眠り運転によるもので、当該運転者は休息期間を8時間とることができていなかった。よって、点呼を実施する際、運転者の体調や疲労の蓄積などをきちんと確認し、疲労等により安全な運転を継続することができないおそれがあるときは、当該運転者を交替させる措置をとることが、同種事故の再発防止策として直接的に有効である。

⑥ 誤り。事故は居眠り運転によるもので、日常点検及び定期点検整備、速度抑制装置の正常な作動の確認が、同種事故の再発防止策として直接的に有効とはいえない。

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