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H28-1-30

運行管理者が、次の大型トラックの事故報告に基づき、この事故の要因分析を行ったうえで、同種事故の再発を防止するための対策として、最も直接的に有効と考えられる組合せを、下の枠内の選択肢(1~8)から1つ選び、解答用紙の該当する欄にマークしなさい。なお、解答にあたっては、<事故の概要>及び<事故関連情報>に記載されている事項以外は考慮しないものとする。

<事故の概要>
当該運転者は、事故当日は普段より遅れて出社し、運行管理者の補助者による乗務前点呼を受けた後、積み置きしてあった最大積載量14トンの大型トラックに1名で乗務し、8時に営業所を出発した。1時間一般道路を走行した後高速道路に入り、2時間走行した後20分の休憩をとった。さらに3時間走行し15分の休憩をとり、続けて1時間30分程度走行したところで(運行開始より約550キロメートル走行した地点)、緩やかな右カーブにおいて、前方で起きた事故のために徐行していた自動車に追突した。

<事故関連情報>
〇当該運転者は、事故前日休日で就寝時間が遅かった。
〇当日の運行は、荷主直接からの運送依頼による定期運行の経路であり、事故日前々日に営業所隣の車庫で積み荷作業を済ませていた。
〇当該営業所では、運行管理者と運行管理者の補助者による交代制で点呼を実施しており、当該運行については、補助者が乗務前点呼を実施した。
〇当該運転者は、事故日の1ヵ月前に、拘束時間、連続運転時間について、改善基準を超えた運行を行っていた。他の運転者においても同様の違反があった。
〇事業者は、毎月1回の安全衛生委員会を開催して運転者の指導を行っている。また、当該運転者に対しては、速度超過があるので個別の指導も実施していた。
〇当該運転者は、直近の適性診断の結果では、動作の正確さ、判断・動作のタイミングも良く、また、働き方や生活習慣も非常に良い状態であった。しかし、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いを指摘されていた。
〇当該運転者は、適性診断ではSASの疑いを指摘されていたが、健康診断においては特に指摘がなかったため、スクリーニング検査は受けていなかった。
〇当該車両は、法令で定められた日常点検及び定期点検整備を実施していた。また、当該車両には衝突被害軽減ブレーキが装着されていた。

<再発防止対策>
ア 定期健康診断において所見が認められなかった運転者に対して、SAS等に係る外見上の前兆や自覚症状がないかを確認する。また、自覚症状等がない運転者に対しても、主要疾病等に関するスクリーニング検査を実施し、着実かつ早期の発見に努める。

イ 点呼において、運転者に対し、最近、連続運転時間及び速度超過の違反が多いことを再認識させ、休憩場所や休憩時間等について指示どおり運行することを徹底する。

ウ 常に点呼が確実に実施できるよう、体制の整備を図る。

エ たとえいつも慣れた運行経路であっても、漫然運転に陥らないよう、運転中は常に運転に集中し、前方に注意して走行するよう指導する。また、危険を予測し、これを回避できる運転操作を徹底させる。

オ 関係法令及び「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」の違反防止を図るため、運転者に対して適切な運行指示を徹底する。

カ 貨物自動車運送事業は、公共的な輸送事業であり、貨物を安全かつ確実に輸送することが社会的使命であることを運転者に深く認識させる。

キ 衝突被害軽減ブレーキ装着車であっても、必ず衝突をさけるものではない。運転者及び運行管理者は、これらの安全技術が装着されている車両においても、その技術を過信しすぎないことの理解を深めることが必要である。

ク 法令で定めた日常点検及び定期点検整備を確実に実施する。

1:ア・イ・ウ・キ 2:ア・イ・オ・ク 3:ア・ウ・エ・カ 4:ア・エ・キ・ク 5:イ・エ・オ・キ 6:イ・オ・カ・ク 7:ウ・エ・カ・ク 8:ウ・オ・カ・キ

答:5

ア 誤り。定期健康診断において所見が認められなかった運転者に対して、SAS等に係る外見上の前兆や自覚症状がないかを確認することは重要である。また、自覚症状等がない運転者に対しても、主要疾病等に関するスクリーニング検査を実施し、着実かつ早期の発見に努めることも大事である。ただし、今回の事故は原因が明らかにされておらず、これらが同種事故の再発を防止するための対策として直接的に有効とはいえない

イ 正しい。当該運転者に対しては、速度超過があったため個別の指導も実施していた。点呼において、運転者に対し、最近、連続運転時間及び速度超過の違反が多いことを再認識させ、休憩場所や休憩時間等について指示どおり運行することを徹底することは、同種事故の再発を防止するための対策として直接的に有効である。

ウ 誤り。当該運行については、補助者が乗務前点呼を実施しており、点呼について問題はなかった。常に点呼が確実に実施できるよう、体制の整備を図ることが、同種事故の再発を防止するための対策として直接的に有効とはいえない

エ 正しい。たとえいつも慣れた運行経路であっても、漫然運転に陥らないよう、運転中は常に運転に集中し、前方に注意して走行するよう指導すること。また、危険を予測し、これを回避できる運転操作を徹底させることは、同種事故の再発を防止するための対策として直接的に有効である。

オ 正しい。当該運転者は、事故日の1ヵ月前に、拘束時間、連続運転時間について、改善基準を超えた運行を行っていた。他の運転者においても同様の違反があった。また事故当日の連続運転時間も「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」に違反するものだった。関係法令及び「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」の違反防止を図るため、運転者に対して適切な運行指示を徹底することは、同種事故の再発を防止するための対策として直接的に有効である。

カ 誤り。貨物自動車運送事業は、公共的な輸送事業であり、貨物を安全かつ確実に輸送することが社会的使命であることを運転者に深く認識させることが、同種事故の再発を防止するための対策として直接的に有効とはいえない

キ 正しい。衝突被害軽減ブレーキ装着車であっても、必ず衝突をさけるものではない。運転者及び運行管理者が、これらの安全技術が装着されている車両においても、その技術を過信しすぎないことの理解を深めることが、同種事故の再発を防止するための対策として直接的に有効である。

ク 誤り。当該車両は、法令で定められた日常点検及び定期点検整備を実施していた。日常点検及び定期点検整備の確実な実施が、同種事故の再発を防止するための対策として直接的に有効とはいえない

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