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H24-2-30

運行管理者が、次の事業用トラックの事故報告の記述に基づき、この事故の要因を分析する際、同種の事故の再発を防止する対策として、最も直接的に有効と考えられる組合せを下の1~8の中から選びなさい。

事故報告
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<事故の概要>
運転者は、営業所において運行管理者の行う乗務前の点呼を受け、午前4時に出庫し20キロリットルの燃料(比重:O.75)を積んだタンクセミトレーラー(最大積載量は16,000キログラム)をけん引して自動車専用道路を乗用車に続いて時速80キロメートルで走行中、道路が合流する右カーブの地点にさしかかったので、減速しようとブレーキをかけ、時速60キロメートルまで減速して当該カーブに進入したところ、バランスを崩して車体が左側に傾き横転し、そのまま側壁に衝突した。この事故で当該運転者が重傷を負った。

<事故関連情報>
○当該運転者の事故前日の終業時刻は、21時であった。
○当該運転者に対する乗務前の点呼については、出庫時刻まで時間がなかったので、運転者からの所定の報告と、携行品の確認のみを行った。
○当該事故現場となった合流付近は、道路標識により最高速度が時速50キロメートルと指定されており、大型トレーラー等にとって横転する危険性の高い場所であることを当該営業所の運行管理者は認識していたが、当該運転者に対し注意するよう指導していなかった。
○当該運転者は、けん引自動車の運転免許を受けてからあまり期間が経っておらず、タンクセミトレーラをけん引する運行経験が浅かった。
○事故後、運転者から、「事故前夜は睡眠時間が十分取れず、事故当時は集中力が低下していた。」との話があった。
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事故の再発防止策

ア.貨物自動車運送事業は公共的な輸送事業であり、貨物を安全、確実に輸送することが社会的使命であることを運転者に認識させる。

イ.運転者に対し、運行する主な道路及び交通の状況をあらかじめ把握させるよう指導するとともに、これらの状況を踏まえ、事業用自動車を安全に運転するために留意すべき事項を指導する。この場合、交通事故の実例又は運転者が運転中に他の自動車等と衝突又は接触するおそれがあったと認識した実例を説明することにより運転者に理解させる。

ウ.法令及び道路標識等により指定された最高速度を遵守して運転するだけではなく、道路、交通及び車両の状況に応じた安全な速度と方法で運転するよう運転者に対し指導する。

エ.消防法等関係法令に基づき運搬する危険物の性状及び取扱い方法について運転者に理解させる。

オ.積載物を満載したタンクセミトレーラーの重心高が高いこと又は積載物が液状であることから走行状況により重心位置が変化することにより横転しやすいこと等当該トレーラーの構造上の特性を運転者に理解させる。

カ.過積載に起因する交通事故の実例を説明するなどして、過積載がトラックの制動距離及び安定性等に与える影響を運転者に理解させる。

キ.危険が発生した場合でも安全に停止することができるように速度に応じた車間距離を保って運転するよう運転者に対し指導する。

ク.運転者の健康状態の把握に努め、疲労等の理由により安全な運転ができないおそれのある運転者を乗務させないとともに、過労等の生理的要因が交通事故を引き起こす可能性があること及び運転中に眠気を感じたときは運転を中止し、休憩等をとるよう運転者に対し指導する。

1:ア・イ・エ・カ

2:ア・ウ・オ・キ

3:イ・ウ・オ・ク

4:イ・オ・カ・ク

5:ウ・エ・オ・ク

6:ウ・オ・カ・キ

7:エ・オ・キ・ク

8:エ・オ・カ・ク

答:3

ア.誤り。貨物自動車運送事業は公共的な輸送事業であり、貨物を安全、確実に輸送することが社会的使命であることを運転者に認識させることは、今回のような事故の再発を防止する対策として直接的に有効とはいえない。

イ.正しい。当該事故現場となった合流付近は、大型トレーラー等にとって横転する危険性の高い場所であることを当該営業所の運行管理者は認識していたが、当該運転者に対し注意するよう指導していなかった。運転者に対し、運行する主な道路及び交通の状況をあらかじめ把握させるよう指導するとともに、これらの状況を踏まえ、事業用自動車を安全に運転するために留意すべき事項を指導することは、今回のような事故の再発を防止する対策として直接的に有効である。この場合、交通事故の実例又は運転者が運転中に他の自動車等と衝突又は接触するおそれがあったと認識した実例を説明することにより運転者に理解させると効果的である。

ウ.正しい。当該事故現場となった合流付近は、道路標識により最高速度が時速50キロメートルと指定されているにもかかわらず、時速60キロメートルで当該カーブに進入し、バランスを崩して車体が左側に傾き横転し、そのまま側壁に衝突した。法令及び道路標識等により指定された最高速度を遵守して運転するだけではなく、道路、交通及び車両の状況に応じた安全な速度と方法で運転するよう運転者に対し指導することは、今回のような事故の再発を防止する対策として直接的に有効である。

エ.誤り。消防法等関係法令に基づき運搬する危険物の性状及び取扱い方法について運転者に理解させることは、今回のような事故の再発を防止する対策として直接的に有効とはいえない。

オ.正しい。当該運転者は、けん引自動車の運転免許を受けてからあまり期間が経っておらず、タンクセミトレーラをけん引する運行経験が浅かった。積載物を満載したタンクセミトレーラーの重心高が高いこと又は積載物が液状であることから走行状況により重心位置が変化することにより横転しやすいこと等当該トレーラーの構造上の特性を運転者に理解させることは、今回のような事故の再発を防止する対策として直接的に有効である。

カ.誤り。当該事故車両は、20キロリットルの燃料(比重:O.75)を積んだタンクセミトレーラー(最大積載量は16,000キログラム)をけん引しており、過積載ではなかった。過積載に起因する交通事故の実例を説明するなどして、過積載がトラックの制動距離及び安定性等に与える影響を運転者に理解させるは、今回のような事故の再発を防止する対策として直接的に有効とはいえない。

キ.誤り。当該事故は他の車両との接触事故ではない。危険が発生した場合でも安全に停止することができるように速度に応じた車間距離を保って運転するよう運転者に対し指導することは、今回のような事故の再発を防止する対策として直接的に有効とはいえない。

ク.正しい。事故後、運転者から、「事故前夜は睡眠時間が十分取れず、事故当時は集中力が低下していた。」との話があった。運転者の健康状態の把握に努め、疲労等の理由により安全な運転ができないおそれのある運転者を乗務させないとともに、過労等の生理的要因が交通事故を引き起こす可能性があること及び運転中に眠気を感じたときは運転を中止し、休憩等をとるよう運転者に対し指導するとは、今回のような事故の再発を防止する対策として直接的に有効である。

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