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第25回-問題2

Aさん(84歳、男性)は、「私は13歳のとき、発疹が現れ医師の診察を受けたところ、ある感染症にかかっているという理由で、強制的に国立の療養所に入所させられた」と語った。この入所は、ある感染症の予防法に基づくものであった。
Aさんは、「療養所では、入所した日から本名を使うことができなかった。また、一時帰宅したが、その後の帰宅を両親から断られた」と続けた。
この法律は1996年(平成8年)に廃止された。
Aさんが罹患した感染症として、正しいものを1つ選びなさい。

1:破傷風(tetanus)

2:コレラ(cholera)

3:痘そう(smallpox)

4:梅毒(syphilis)

5:ハンセン病(Hansen's disease)

答:5

1:誤り。破傷風は、破傷風菌の神経毒による中毒性感染症である。創傷から感染し、開口障害、嚥下困難、筋肉強直、痙攣など激しい症状が現れ、呼吸困難で死亡する危険がある。

2:誤り。コレラは、コレラ菌の経口感染による急性消化器系伝染病である。激しい下痢や嘔吐が起こり脱水症状で死亡する危険がある。

3:誤り。痘そうは、痘瘡ウイルスによる急性発疹性伝染病である。全身に膿疱を生じ、仮に治癒しても瘢痕を残す。感染力が非常に強く死亡率も高い。天然痘や疱瘡とも呼ばれる。

4:誤り。梅毒は、梅毒トレポネーマによって発生する感染症である。主に性行為により感染し、母親から胎児に感染することもある。治療しないで放置すると十数年かけて徐々に進行し、全身の臓器がおかされる。

5:正しい。ハンセン病は、癩(らい)菌による慢性細菌感染症である。感染力は弱い。主に末梢神経が冒され、知覚麻痺、神経痛や皮膚症状のほか、脱毛、顔面や手足の変形などがみられる。戦前は有効な治療法がなく、遺伝性であるとか感染力が強いなどと信じられており、その病状からも患者や家族は偏見や差別の対象となった。1907年のらい予防法により隔離政策が開始され、患者は国立療養所などへの強制入所や優生手術その他の人権上の制限・差別を受けてきた。戦後、治療薬の出現により治る病気となったが、隔離政策はらい予防法が廃止される1996年まで続いた。

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